タイムスリップオタガール(1) [作]佐々木陽子

2017年01月22日

■中学生に戻り、三十路の会話力を発揮

 気楽な子供の頃に戻りたい——なんて言う人がいるけれど、本当に戻ったら大変だ。特にオタクの場合どうなるかを描いたのが本作である。
 30歳のオタク女子が同人誌即売会の帰りに線路に転落。が、戦利品のエグい同人誌を〈公共の場に散乱させてご迷惑をおかけするわけには!!〉との強い思念の力(?)でタイムスリップし難を逃れる。その後もいろいろあって、なぜか中学2年生に戻ってしまったところからが本題だ。
 若返った体の軽さや肌の張り、働かなくていいことに喜んだのも束(つか)の間、30歳までコツコツ買い集めた同人誌などのお宝アイテムが全部失われたことに気づく。このときの彼女の絶望の表情たるや!
 買い直そうにも中学生なのでお金はないしバイトもできないもどかしさ。一方、当時のテレビや雑誌を見て懐かしさに歓喜し、学校では三十路(みそじ)のコミュ力で男子とも平気でしゃべれるし、周囲の冷やかしも華麗にスルーする。
 そんな彼女のリアクション芸とオタク的妄想が最高に痛痒(いたがゆ)い。中2病全開のノートに身悶(みもだ)えしつつ熱気にあてられる場面など、笑いながらも胸を衝(つ)かれる。一見ギャグ調だが、人生で大事なことが詰まっている、かもしれない。(南信長=マンガ解説者)
    ◇
 フレックスコミックス 648円

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