ビッグヒストリー [著]デヴィッド・クリスチャン他 [日本語版監修]長沼毅

2017年01月17日

■楽観論と悲観論

 最近、スケールの大きな歴史本が注目されている。歴史を人類の歴史として、あるいは地球の歴史としてとらえる本だ。なかでも『ビッグヒストリー』のスケールはとびきり大きい。なにしろ宇宙が誕生してから現代、そして未来までを描くのだから。大判で400ページ超、カラー印刷。文字どおり「大きな歴史」の本だ。3人の執筆者はオーストラリアやアメリカの大学で教える歴史学者。
 宇宙が誕生してから現在までの138億年の間に、八つの大きな転換点があった、と本書はいう。「スレッショルド(大跳躍)」と呼ぶこの転換点で、世界の(あるいは宇宙の)複雑さが一気に増し、違うレベルへと進む。
 八つのスレッショルドのうち三つは地球誕生以前のもの。第4スレッショルドで太陽系と地球が誕生し、第5で生命が、第6でようやく人類が誕生する。天文学や物理学、化学、生物学、人類学、(一般的な意味での)歴史学、経済学などさまざまな分野の知見が横断的に語られる。
 気になるのは「未来のヒストリー」と題された最終章だ。これからの100年間に何が起きるか。人口の増加と化石燃料供給の限界、気候の不安定化など、悪い話はたくさんある。一方、人類は創意工夫に富んだ生物種だから問題を解決できるだろう、という楽観的予測も可能だという。ここ数年の世界を見渡すと、悲観論を採りたくなる。
 いずれにせよ、いつか宇宙は終わりをむかえるし、地球もなくなるということだけはたしかだ。それに比べれば、いま地球上でおこなわれている争いごとなんて大したことはない……と思いたい。

ビッグヒストリー われわれはどこから来て、どこへ行くのか――宇宙開闢から138億年の「人間」史

著者:デヴィッド・クリスチャン、シンシア・ストークス・ブラウン、クレイグ・ベンジャミン、長沼 毅、石井 克弥、竹田 純子、中川 泉
出版社:明石書店

表紙画像

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