BEASTARS(1) [作]板垣巴留

[文]ササキバラ・ゴウ(まんが編集者)  [掲載]2017年02月05日

表紙画像 著者:板垣巴留  出版社:秋田書店

■動物の学園ドラマが映す人間社会

 動物キャラによる学園ドラマだ。人間は登場しない。巨大なゾウから小さなネズミまで、雑多な動物たちの擬人化された世界が描かれる。
 一見穏やかな生活ぶりだが、同居する彼らは草食動物と肉食動物に色分けされている。そのため、ここにはある緊張感が常に漂っている。
 物語は、とある草食動物のアルパカが、学園内で何者かに襲われて命を落とすという事件から始まる。疑いの目で見られるのは肉食動物だ。彼らは草食動物を自分たちのエサとしか思っていないのではないか? 主人公のハイイロオオカミも、周囲から厳しい目が注がれる中、口数少ない不器用な性格ゆえに誤解を受けながら、孤独に自分の生き方を模索していく。
 ストイックで男らしい主人公の姿が印象的だ。外観が動物だけにコメディー調にも見えるが、ある意味ではハードボイルドな作品だ。自分の中に潜んでいる暴力性に向き合って、窮屈に生きていくこと。それは、かつてダンディズムと呼ばれていたものだろう。しかし今の時代、それはもはや男だけの問題でもない。
 動物のドラマだからこそ、逆に人間の問題が広がりをもって伝わってくる。絶妙な読み味で心に響く作品だ。
     ◇
 秋田書店 463円

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