彼の内面は、満ち足りて豊か 吉田伸子さん

2017年03月05日

61年生まれ。書評家。「本の雑誌」の編集者を経てフリーに。著書に『恋愛のススメ』

■相談 無口な孫に、明るく快活になれる本を

 小学6年生の孫がよく遊びに来るのですが、無口でいつも下を向いていて、学校や日常のことを尋ねても返事は「ああ」とか「うん」としか言いません。男の子なのですが、オドオドしたように見え、友達も少ないようです。一人で漫画などはよく読んでいるようですが、明るく快活になれるような小学生向きの本はないでしょうか。
 (福岡県、男性、66歳)

■今週は吉田伸子さんが回答します
 うちの息子はお孫さんよりもちょっと上なのですが、やっぱり無口だし、何を聞いても一言か二言しか返って来ません。反抗期真っ盛りの時なぞは「ん」でした。声のトーンを微妙に変えることで、肯定と否定を「ん」で表すのです。出し惜しみもいい加減にしろ!と腹が立つやら呆(あき)れるやら。
 とはいえ、思春期真っ盛り反抗期全開の男子なんて、どこのおうちの子も似たり寄ったり(ハハどうしの情報交換による)。稀(まれ)に、学校のことはもちろん、日々の諸々(もろもろ)を事細かに話してくれる男子もいるみたいですが、そういう子はイリオモテヤマネコ並みの希少種です。
 さて、お孫さんのことです。文面から推察するに、おとなしいお子さんなのですね。そのことを物足りない、男の子なんだからもっと元気に、活発にと思われるお気持ちも分かります。でも、外側からはそう見えるだけで、漫画を読んでいる時の彼の内面は、ものすごく満ち足りて豊かなのでは、と思います。だから一人でいることが苦にならないのではないでしょうか。
 そんなお孫さんにお薦めするのは、うちの息子がかつて夢中で読んでいた、はやみねかおる著『都会(まち)のトム&ソーヤ』です。内藤内人と竜王創也という二人の中学生男子を主人公(語り手は内人)にした、文字どおり都会が舞台の冒険小説で、推理小説でもあります。二人の目的は、究極のゲームを作ること! どうでしょう、これならお孫さんも興味を持ってくれるのでは。
 もう一冊は、川西蘭著『セカンドウィンド』(小学館文庫1〜3、771〜788円)。お孫さんが漫画好きなら、自転車競技をテーマにしたスポーツ漫画『弱虫ペダル』(アニメにもなっています!)を物語にしたような内容だよ、と言っていただけるといいかもしれません。
 どちらも、これから成長していく上で大切なことが描かれていて、きっとお孫さんの力になってくれるはず。良かったら、お孫さんと一緒に読んでみてください。
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 次回は詩人の水無田気流さんが答えます。
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