相模原障害者殺傷事件―優生思想とヘイトクライム [著]立岩真也・杉田俊介

[文]若林良  [掲載]2017年03月07日

表紙画像 著者:立岩真也、杉田俊介  出版社:青土社

 昨年7月に神奈川県相模原市の障害者施設で発生した殺傷事件を、社会学者の立岩真也と障害者ヘルパーの経験がある批評家の杉田俊介が読み解いた。
 二人のアプローチは対照的だ。立岩が障害者をめぐる言説や、歴史的な観点から事件を検証するのに対し、杉田は事件の受容のされ方や、容疑者の思想が一定の支持を得た背景に何があったかなど、「私たち」にとっての事件の意味を問いかける。
 本書は事件を総括するというより、「自分はいかに言葉を紡ぐか」という、著者らの個人的な模索が出発点となっている。しかし、そうした個人の倫理こそが根源的な「悪」に対峙できる唯一の手段だと、読み進めるうちに気づかされる。著者それぞれの論考と討議が収められ、読後感は重いが、目を背けてはならない一冊だ。

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