福永信が薦める文庫この新刊!

[文]福永信(小説家)  [掲載]2017年03月12日

表紙画像 著者:金子 兜太、いとう せいこう  出版社:講談社

 (1)『他流試合 俳句入門真剣勝負!』 金子兜太、いとうせいこう著 講談社+α文庫 961円
 (2)『小林信彦 萩本欽一 ふたりの笑タイム 名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏』 集英社文庫 562円
 (3)『吉本隆明 江藤淳 全対話』 中公文庫 1080円
    ◇
 対談は相方に恵まれることが大事。ズレがあるほど話は飛躍し、脱線し、即興のリアクションを生む。そこに人間らしさが入り込む余地が生まれる。以下、いずれも名コンビ。(1)まるで小石のような俳句。小石を投げて生じた水の波紋のように広がる二人の言葉。俳句の歴史が刻む、底なしの深さも感じる。ともあれ二人はタフな言葉のアスリート。単行本から16年、最新対談を増補。(2)テレビと喜劇を知り尽くした二人による夢の競演。浅草、新宿の劇場の隙間から「テレビのお笑い」が生まれ、育っていく一端がわかる。映像にも残ってないギャグを再現してみせる彼らの語りが魅力。なんでも感心する欽ちゃんの「へえ〜」の連発に思わず微笑。ぜひテレビ版を。(3)戦後文芸批評のラスボス。生涯を通じて多くの対談をこなし、対談全集まで各自刊行した手練(てだ)れ。だが本書巻頭に置かれる対談は、まだ場数を踏んでないフレッシュな頃。緊張感ハンパなし。最後の対談はもはや名作の域。相方を失った吉本が語るインタビュー等も併録。

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