より良く生きるため、大切なのは好奇心 水無田気流さん

[文]水無田気流(詩人・社会学者)  [掲載]2017年03月12日

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水無田気流さん

表紙画像 著者:N. ヴヌーコフ、ジマイロフ、Nikolai Andreevich Vnukov、島原 落穂  出版社:童心社

■相談 小学生の息子たちが全く宿題をしない
 小2と小5の息子の母です。2人とも、全く宿題をしません。ちょっときつく言おうものなら、たちまち逆ギレして「そんな言い方されるからやる気がなくなった」と言います。「上手に褒めて」などと書いてある育児書もありますが、そんな次元ではありません。「勉強は怒られるからではなくて自分のためにするものだ」と分かってもらえるような本はありませんか?
 (京都市、主婦・38歳)

■今週は水無田気流さんが回答します
 お気持ち、お察しいたします。私の小学校3年生の息子も、好きなことしかしようとせず、常に私の想像の斜め上を飛んで行く行動ばかりで、日々打ちのめされています。先日もひどい点数の漢字テストを持って帰ったのですが、見ると息子が考えたという創作文字だらけ。注意すると、「このほうが絶対カッコいいから、教科書はこっちを採用するべきだ」と得意気(げ)です。しかも息子は、連絡帳に親に読まれて困ることは暗号文で書いているので、宿題を把握することすら困難です。ですから私には、「子どもの勉強習慣が身につく」とか「きちんとしつける」といった類の回答はできません……。
 ただ、長年大学や塾、専門学校等で子どもから高齢者まで教えてきた実感から。人間が何かを学ぶのに一番大切なもの、でも教師が教えることができない最大のもの、それは「好奇心」だと思うのです。これこそが、人間が周囲の環境に興味を持ち、理解し、より良く生きていくための原動力であり、「勉強すること」の根幹にあると思うのです。
 さて、自ら環境に働きかけることの重要性や知識の大切さを端的に示すのは、生存をかけた冒険譚(たん)ではないでしょうか。とくにお子さんには子どもが主役の小説『孤島の冒険』がお薦めです。14歳の少年サーシャは、父の働く海洋生物調査船のデッキから、大波にさらわれて無人島に漂着。知識や知恵を総動員して火をおこしたり、食べ物を確保したりして、たった1人で47日間を生き延びます。彼の母は亡くなっているのですが、かつて「朝ごはん、ちゃんと食べるのよ」などと言われたときのことを思い出したりして……。加えて、さとうち藍文・松岡達英絵『冒険図鑑』(福音館書店)を読めば、より実践的な知識が身につくでしょう。野外での衣食住から、怪我(けが)や病気、危険な生物への対処、さらに気象や月の満ち欠けの見方まであり、理科や社会の実践的理解にも役立ちます。学ぶことは、より良く生きることにつながります。息子さんたちが、自分の力で気づかれるようお祈りいたします。
    ◇
 次回はタレントの壇蜜さんが答えます。
    ◇
 ■悩み募集
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この記事に関する関連書籍

孤島の冒険 (フォア文庫)

著者:N. ヴヌーコフ、ジマイロフ、Nikolai Andreevich Vnukov、島原 落穂/ 出版社:童心社/ 発売時期: 1998年06月




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