情報法のリーガル・マインド [著]林紘一郎

[文]小林雅一(ジャーナリスト)  [掲載]2017年03月12日

■自動運転車の事故、責任を負うのは?

 情報化社会の到来と言われて久しいが、それを律する「情報法」はいまだ確立されていない。法学は安定性を重視するために、多くの学問分野の中で最も保守的な分野とされる。このため多くの法学者は物(有体物)を中心とする既存法の延長線上に情報法を思い描くが、物よりも情報の価値が相対的に高まる現代社会では、ある種の不連続や飛躍も(情報法を設計する上で)不可避ではないか、と著者は見る。
 たとえば実用化が目前に迫った自動運転車が将来事故を起こした場合、その責任を負うのはユーザー(人間)か、それとも機械(を製造したメーカー)か? これは製造物責任法など従来法の漸進的な改正では裁き切れない。むしろ人工知能のようなITと人間、さらには法人までもが合流する「Inforg」という法主体を新設し、そこから来る時代に対応できる情報法を構築すべきだという。
 著者は、そうした画期的概念を受容する心を新たな「リーガル・マインド」と位置付け、それを備えた若手研究者に対する「情報法の未解決問題集」として本書を執筆したという。そのために、数々の具体例を紹介しつつ情報法の在り方を思索・提言している。    

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