居場所を増やして、人生を肯定して 荻上チキさん

2017年05月14日

81年生まれ。言論サイト「シノドス」編集長。TBSラジオ「Session—22」パーソナリティー。

■相談 友だちの自慢話をほめてしまう
 友人の自慢話やグチを聞かされることが多く、ウンザリしています。グチに耳を傾けてしまったり、自慢話に「すごいね」などと言ってしまったりするのが悪いのだと分かっているのですが、肯定的な反応を求められているのではと思うと、そう言わずにはいられません。どうすればいいのでしょうか。
 (埼玉県、パート女性、45歳)

■今週は荻上チキさんが回答します
 人付き合いって難しいですよね。無理に笑ったり、相槌(あいづち)をうったり。僕はそういう「感情サービス」が苦手なので、友達を限定するようにしています。あ、嘘(うそ)です。そういう社交の類への苦手意識が先走って、友達があまりできないまま生きてきたので、今はむしろ意図的に増やそうと努力しています。
 合わせるのがしんどい相手とは距離をとるのもいいでしょう。でも、相手にというより、自分の「生き様」にうんざりしてしまう場合、新しい場所でも同じストレスを感じてしまうかもしれない。そんな風に「生き様」に悩んだ際、僕は小説や漫画などの物語を頼ります。色々な人間の姿が描かれているので、「自分のような人間」の「生き様」も肯定してくれるからです。
 漫画『たそがれたかこ』の主人公・片岡たかこは45歳。夫と離婚し、一人娘とも離れ、パートで働きながら年をとった母親と2人暮らしをしています。特に楽しいこともなく、自分の人生を肯定しきれない日々を送っています。
 そんな彼女に、小さな変化が訪れます。ラジオから流れてきた若手ミュージシャンの曲。ひょんなことから見つけた小さな店。些細(ささい)な出会いをきっかけに、彼女は自分の「生き様」を少しずつ変えていきます。
 白髪が増えてきた髪の毛をいっそ明るくしたこと。CDを買いにレコード店まで足を運ぶこと。小さな店にお酒を飲みに行くこと。若手ミュージシャンのラジオのリスナーになり、ライブにも行くこと。ちょっとした居場所が増えていくことで、彼女の世界はひろがっていきます。
 母親との関係がしんどいこと。娘が摂食障害になったこと。娘と同じくらいの年の少年に恋をしたこと。人に「NO」と言えないできた自分の人生。そうした悩みの数々とも、居場所を作ることで向き合うことができていくようになります。
 かつて少年・少女漫画のキャラに憧れたように、大人が主人公の漫画を手にとると、新しい自分の姿に憧れるかも。
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 次回は歌人の穂村弘さんが答えます。
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 ■悩み募集
住所、氏名、年齢、職業、電話番号、希望の回答者を明記し、郵送は〒104・8011 朝日新聞読書面「悩んで読むか、読んで悩むか」係、Eメールはdokusho−soudan@asahi.comへ。採用者には図書カード2000円分を進呈します。

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