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多動力 [著]堀江貴文

2017年08月13日

■時代が求める“肩書越境力”

 僕は、お笑い芸人をやりながら、絵本やビジネス書を出版したり、町を作ったり、学校を作ったり、上場企業の顧問なんかもやっている。そんなことをしていると、世間の皆様から批判を受けることも少なくない。その批判を要約すると、「やりたいことは一つに絞れ」だ。
 僕より上の世代は、イチロー選手のように、一つの目標を追い続ける人間を鑑(かがみ)として、複数個の肩書を持つ人間に対しては「二兎(にと)を追う者は一兎をも得ず」と蔑(さげす)む傾向がある。時代錯誤甚だしい。
 僕より下の世代は「全ての職業には寿命がある」という前提のもと行動している。スマートフォンの登場以降、猛スピードであらゆる職業が終わっていく現場を目撃してきたのだ。「ロボットタクシー」なんて言葉も聞こえてきている。まさか、そんな時代に「タクシードライバーになりたい」という若者は出てこないし、今、タクシードライバーをやっている若者は間違いなく転職を考えている。
 一つの場所に居座り続けることがリスクでしかないことを知っているのだ。
 10年前、20年前とは違い、まもなく「肩書」はその意味を失い、副業(複業)や転職がカジュアルになる。
 その時に必要なのが「多動力」だ。肩書を軽やかに越境し、いくつもの仕事を同時に進める力。堀江貴文さんは自分の身体を実験台にして「多動」を実践し、そして結果を出している。
 彼は努めて冷静に時代を読み、体制や自分の感情を贔屓(ひいき)するわけでもなく、常にフラットな意見を、常に本当のことを僕らに投げかけてくる。彼の意見に時々耳が痛くなるのは、心当たりがあるからだ。
 とても優しい男だと思う。そんな彼が書いた「多動力」は名著だ。
 そこにはこれからの時代の生き方が書かれている。評論家ではなく、僕らの少し前を走る実践家が書いた体験談だ。僕らの血や骨にならないわけがない。
 西野亮廣(芸人)
    ◇
 幻冬舎・1512円=9刷20万部 17年5月刊行。20〜30代の働く世代を中心に、「自分たちの価値観を代弁してくれた」「上司に読んでほしい」という反響が寄せられているという。

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