悩んで読むか、読んで悩むか

寄り添って、濃厚な言葉たちと共に 壇蜜さん

2017年09月03日

80年生まれ。テレビ・ラジオなどで活躍。エッセーや初の短編小説を収めた『泣くなら、ひとり』など。

■相談 思春期の孫にプレゼントしたい

 中学1年生の孫がいます。活発な女の子ですが、クラスの数人からいじめのようなことをされ、苦労しているようです。誕生日に『赤毛のアン』などの本をプレゼントしたら「また送って」と。私は小さな田舎町に住んでおり、思春期の子どもになにを選んだらいいか分かりません。中学から高校へと進んでいく彼女にどんな本を贈ったらいいでしょうか。
 (神奈川県、主婦・73歳)

■今週は壇蜜さんが回答します

 相談者さまには、『ポケット詩集』をお薦めします。いつも私は漫画や絵本をメインにお薦めしてきたのですが、今回はどうしても相談者さまのお孫さんには詩を読んでいただきたく、ご紹介いたします。
 ポケット詩集とは4年ほど前、作家の桜木紫乃先生にこの本の中の詩を紹介してもらったことがきっかけで出会いました。全3巻構成ですが、まずは1巻だけプレゼント……でもいいと思います。難しい言葉の解説用に辞書も添えて。詩を黙読、音読することで作者の凝縮された言葉に触れ、その言葉たちから少しでもエネルギーを摂取して欲しいのです。
 お孫さんはいじめのような行為を受けていると伺いました。たとえ「ような」でも学校と家庭が社会の主流の中学生には酷です。「自分を生きていたい」という気力を削(そ)がれているかもしれません。そのすり減った心を、生気みなぎる詩の世界がきっと包んでくれると信じています。絵でもない、物語でもない、濃厚な言葉たち。お孫さんのそばに詩を寄り添わせてみてはいかがでしょうか。
 母校への恩もあるので、荒い言葉は使えませんが、以前私も「居場所を奪われるような疎外」を経験しています。当時は何事も精神論で何とかしようという風潮でしたから「気にするな」「なにくそと思え」という激励が一番こたえました。そんなガッツがあれば絶望しないはずなのに。
 悲しい話ですが、痛む心を抱えたまま生きていることが嫌になり、恐ろしい選択をする子供もいます。相談者さまには、お孫さんに詩集を渡すと同時に「居場所を奪うような環境の中に無理に行かなくてもいい」「私はあなたの味方である、絶対に守る」「誰もあなたを疎外しない安全な場所で話をしたい」「居場所を変える選択だってある」という旨の言葉を詩集に折り込んでみてはいかがでしょう。詩で励ましを、相談者さまはお孫さんの受け入れを。詩集にそれを書き込み「何度も読みなさい」とお伝えください。そしてご両親も交えて「聞く」に徹する時間を設けてみてはいかがでしょう。
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 次回は詩人の水無田気流さんが答えます。
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 ■悩み募集
 住所、氏名、年齢、職業、電話番号、希望の回答者を明記し、郵送は〒104・8011 朝日新聞読書面「悩んで読むか、読んで悩むか」係、Eメールはdokusho−soudan@asahi.comへ。採用者には図書カード2000円分を進呈します。壇蜜さんと水無田さん以外の回答者は次の通り(敬称略)。石田純一(俳優)、荻上チキ(評論家)、斎藤環(精神科医)、穂村弘(歌人)、三浦しをん(作家)、山本一力(作家)、吉田伸子(書評家)。

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