話題の新刊(週刊朝日)

愛と子宮に花束を―夜のオネエサンの母娘論 [著]鈴木涼美

2017年09月05日

 著者は大学院で社会学を専攻後、5年半の新聞記者経験を経て作家になった。だが以前はAVに出演。現在は社会学者としても注目される。その異色の経歴を振り返りつつ、母との愛憎に満ちた関係性をエッセイにまとめた。
 夜の世界の狂乱が生活の中心になっていたこともあってか、性生活や出会った女性たちの描写はいずれもけばけばしく、文章そのものも過度に飾った印象を受ける。しかし読み進めるうちに、そのようなものに依存せざるを得ない、著者の抱える寂寥感も浮き彫りとなる。
 一方、母の死に関連した本書後半の文章は、驚くほどストレートな文体となる。どちらが本当の著者の姿なのだろうか。私的なエッセイではあるが、むしろこの二面性は、「夜の女たち」の普遍的な姿であるのかもしれない。 (若林 良)

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