話題の新刊(週刊朝日)

ほとんど見えない [著]マーク・ストランド [訳]森邦夫

2017年09月12日

「アメリカ桂冠詩人」の称号を与えられた著者による散文集。収められている47篇のほとんどが1ページに満たない短い作品だ。だが、ある夫婦の会話やイメージの描写、著者自身の独白のような文章など、一つひとつに短編小説のような内容が凝縮されている。
 少しずつ行ったり来たりしながら読み進めると、その時々で良いと感じる部分が異なってくる。まるで読み手の状態に合わせて形を変えるかのようだ。人生を通してそばに置いたら、どれだけの読みができるのだろう。
 2014年に80歳で亡くなった著者の最後の作品集。タイトルの「ほとんど見えない」は、言い換えれば「わずかに見える」ということ。人生の最期に、わずかに見えたものとは。本書とともに歳を重ね、その景色を見てみたい。 (後藤明日香)

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