コミック

僕はまだ野球を知らない(1) [作]西餅

2017年09月17日

■データオタクが弱小チームの監督に

 大の野球好きだけど運動オンチな物理教師が弱小野球部の監督に。セイバーメトリクス(統計学的分析で選手を評価し戦略を立てる手法)とハイテク機器を駆使してチームを強化、甲子園をめざす。
 と書くと、さわやかスポーツ青春もののようだが、少々様子が違う。主人公のデータオタクぶりが度を越して、変態の域に達しているのだ。
 他校の監督を休日にストーキングして性格分析。グラウンド全体に金属探知機を徹夜で埋め込み、スパイク金具の動きから守備データを取るシステムを構築。3Dモデリング、アイカメラなどの機器には私財を投入。ここまでされたら選手もやる気を出さざるをえない。というか、練習効果が可視化、数値化されるのはゲーム世代の球児にはぴったりかも。ネガティブな態度の選手を諭すセリフなど、意外と教育的な要素もある。
 舞台となる工業高校は前作『ハルロック』の主人公の出身校で共通キャラも登場。漫才風の会話で笑わせる一方、野球部内の人間模様やメンタル面の描写は高校生らしく繊細だ。プレー場面の躍動感のなさも味のうち。現実はデータどおりにいかないことも多いと思うが、根性論を排した理系野球マンガは痛快だ。
 南信長(マンガ解説者)
    ◇
 講談社 616円

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