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「報酬」と「罰金」、どちらの方が強いモチベーションになるのか?

2017年09月19日

 部下や同僚のモチベーションを引き出すために「罰金」と「報酬」を与えるのでは、どちらが効果的だろうか?
 「モチベーション」とは、「行動のための動機、理由」のこと。部下や同僚に「この仕事を迅速に処理しよう」「生産性のある仕事をしよう」を思わせるには、「動機」や「理由」を上手に与えたり刺激したりすることが必要だ。その選択を誤れば、やる気や意欲は下がってしまう。
 そんな、部下や同僚のモチベーションコントロールに役立つ一冊が『図解 モチベーション大百科』(池田貴将著、サンクチュアリ出版刊)だ。
 本書では、一流研究機関で実施された100通りの心理・行動実験から、ビジネスマンのモチベーション維持や向上のテクニックが図解とともに解説されている。

■インセンティブは「成功したらあげる」よりも「失敗したら取り上げる」

 なぜ「罰金」の方が「報酬」よりもインセンティブ(刺激)として効果的なのだろうか。
本書ではある実験からその理由が解説されている。

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 テストを受ける直前の小学生たちに、それぞれ次のように伝えた。
A:子供たちに20ドルを渡し、「前回よりも点が下がったらその20ドルを取り上げる」
B:「前回よりも点が上がったら、試験後すぐに20ドルをあげる」

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 すると、Aチームの成績はBチームよりもはるかに上がったというのだ。
 この実験からわかるのは、インセンティブ(刺激)は「成功したらあげる」より「失敗したら取り上げる」方が効果的だということだ。これは「新しいものを得るため」よりも「今持っているものを失わないため」の方がアクティブになるという人間心理があるからだ。
 つまり、「○○を失いたくない」という方がモチベーションに強く作用するのである。

■チームは強くするには「競争心」よりも「向上心」をあおる

 切磋琢磨という言葉がある通り、仕事においても「競争」は成長を促すことがある。
 だが、著者は「競争は“勝敗の結果が出た後”が問題」なのだと述べる。
 人は競争の結果が出ると、なぜその結果が出たのかを分析する。
 このとき競争に勝った方は「自分はできる人間だから」「強運の持ち主だから」と結論づけやすく、負けた方は「自分はできない人間だから」「運がないから」と結論づけやすくなる。
 素質や運は、自分ではどうしようもないので、組織内で競争を繰り返すと、次第に努力や工夫をしなくなる人が増える。その結果、活躍できる人とできない人が固定化する弱い組織になってしまうおそれがあるのだ。
 本書の「非競争的報酬」で紹介されている実験では、他者との競争は過信を生みやすく、自分との競争は意欲を生み出しやすいことが示されている。
 部下の競争心ではなく、「あなたならできる」と向上心をあおった方が、チーム全体の生産性を上げることができるだろう。

■モチベーションは「キャンディひとつ」で強化される

 もっと手軽にモチベーションをコントロールする方法も多数紹介されている。
 そのうちのひとつが、スモールプレゼントによる「キャンディ効果」だ。

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 A~Cの3つのチームで経験豊かな医者たちに架空の患者の病状や病歴を聞かせ、診断をしてもらうという実験を行った。それぞれのチームには事前に違うことをしている。
 A:「事前に何もしない」
 B:「事前に医療関係の記事を読んでもらう」
 C:「事前にキャンディをあげる(血糖値に影響するので食べてはいない)」

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 その結果、Cチームは、AとBに比べ、2倍の速さで正確に診断を下したのだ。いい大人がキャンディひとつで嬉しくなって、仕事を素早く正確に仕上げたのである。
 つまり、些細なことでも「いい気分」をつくってから仕事にとりかかってもらった方が、結果的に作業がはかどり、ミスも減るのだ。
 本書では、本書では、他にも数多くのテクニックを、「動機付け」「人材育成」「目標設定」「意思決定」「人脈作り」「自己管理」「発想転換」という7つのカテゴリーで紹介している。
部下のモチベーションを上手にコントロールしたいなら、まずは、明日の朝一番に部下にあげるスモールプレゼントを考えてみてはいかがだろうか。
(ライター/大村佑介)

●大村佑介
1979年生まれ。未年・牡羊座のライター。演劇脚本、映像シナリオを学んだ後、ビジネス書籍のライターとして活動。好きなジャンルは行動経済学、心理学、雑学。無類の猫好きだが、犬によく懐かれる。

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