手塚治虫生誕90周年

萩尾望都・諸星大二郎・くらもちふさこ・松本大洋・羽海野チカ… 手塚治虫文化賞受賞作家がメッセージ

2017年11月08日

手塚治虫文化賞

■萩尾望都(第1回マンガ優秀賞/1997)
 89年前、手塚治虫が生まれた。手塚治虫の青春時代、太平洋戦争があった。終戦の後、アメリカ文化が日本になだれ込んできた。映画も本も、車も音楽も。手塚治虫の描いたストーリー漫画はそれまでの漫画とは全く違っていた。人物は絵の中で動いた。コマで割った画面はアニメーションのように流れた。読む目線は音楽を聴くように導かれた。それを読んで感動した人々がその表現の世界に参加した。私もその一人だ。その音楽は受け継がれ、今も鳴り響いている。手塚治虫がいた。
 それが、戦後の日本の感動と幸福だった。

■諸星大二郎(第4回マンガ大賞/2000)
 手塚先生、来年、生誕90年を迎えるとのこと、おめでとうございます。先生の没後30年、両親に育てられた子供も成長すると、自分一人で大きくなったような顔でふるまうようになるものですが、漫画界もそのようにどんどん変化し発展してきました。そろそろ恩返しをしたいものです。

■くらもちふさこ(第21回マンガ大賞/2017)
 手塚治虫先生の作品群を振り返りますと、相反する言葉が浮かんできます。人間とロボット、大人と子供、夢と現実、男と女、善と悪等々、表裏一体を意識すると大きな愛情が見えてきます。執筆中のみならず日常生活において、手塚漫画の影響と意識することは多々ありますが、無意識の中にも存在していたことに最近気づかされ、その現象こそが何よりも嬉しいです。いつまでも近くて遠い存在の憧れの先生です。

■松本大洋(第15回マンガ大賞/2011)
 子どもの頃に、むさぼるように読んだ、手塚先生の漫画には、生き物は必ずや死ぬという事や、権力への執着、理不尽な差別、愛情や性欲など、大人が子どもへと、どのように伝えるべきか悩む事柄が、先生の創り出す魅力的なキャラクターを通して真摯に描かれていました。
 これから先も、末長く手塚先生の作品が読み継がれてゆく事を願っております。

■羽海野チカ(第18回マンガ大賞/2014)
 初めて買ったマンガがリボンの騎士でした。子供だった私はドレスや可愛い動物たちを真似て、家中のチラシやカレンダーの裏に絵を描いていました。そしてそのまま大人になり、手塚先生と同じ漫画家になりました。今度は、私が手塚先生にもらった心の宝物や人生へのインパクトを、次の誰かに少しでも手渡して行けたら…と思いながら日々原稿用紙に向かっています。

関連記事

ページトップへ戻る