悩んで読むか、読んで悩むか

振る舞いのモデルを見つけて 荻上チキさん

2017年11月12日

81年生まれ。言論サイト「シノドス」編集長。TBSラジオ「Session—22」パーソナリティー

■相談 緊張せず和やかに話したい

 幼い頃から人と対面すると、とても緊張してしまいます。職場では業務関係の話をするだけで精いっぱい。言いたいことの半分も言えずに終わってしまうこともあります。話題が豊富で誰とでもうまくコミュニケーションが取れる人がとてもうらやましく、和やかに話せるようになるためのアドバイスをお願いします。
 (埼玉県、会社員 女性34歳)

■今週は荻上チキさんが回答します
 友達音痴を自称する荻上です。ラジオパーソナリティーという仕事をしています。傍(はた)から見たら「誰とでも話せる社交的な人」のように見えるかもしれませんが、話せているのはあくまで技術の問題であって、ストレスも人一倍感じます。あなたと同世代ですが、大人って、もっと「うまくやれるもの」だと思ってました。違いましたね。
 仕事柄、多くの人にインタビューをしていますが、誰とでもうまくコミュニケーションを取れる人というのには出会ったことがありません。人には必ずクセがあります。「とにかく明るい人」と話すと疲れます。その人のエネルギーに振り回されてへとへとになるからです。うまくやってるように見える人も、周囲の反応はまちまちかもしれません。
 『LIFE』という本はいい感じに「ぬるい」本です。色々な動物の生態を紹介し、一つの解釈を示していく。漫画なので読みやすく、ちょっとした豆知識も手に入って面白いです。
 繊細なためにストレスで死んでしまうタコ。天敵に見つかったら諦めて「せめて痛くされないように」身をゆだねるナマケモノ。百獣の王と言われるが、狩りの成功率は2割程度のライオン。こだわりが強すぎて絶滅しそうになっているパンダ。環境に適応するため、それぞれの歩みを進めてきた動物たち。「こう生きろ」と説くのではなく、「こんな生き方もある」と並べるだけ。生き方は一つではないので、まずはメニューを眺めるのもいいでしょう。
 他人を動物にみたてて観察すれば、どうやって生存しているのか見えてきます。できそうなら、その振る舞いを真似(まね)してもいいかもしれません。ただ、人間の生き方も多様です。無理に和やかに振る舞うことが、こころの穏やかさを邪魔するかもしれない。生活に支障が出るほどの緊張なら、相談に乗ってくれる専門医もいます。性格にあった、自分なりの振る舞いモデルを見つけることが大事です。しばらくはそのためのメニュー探しだと割り切ってみてはどうでしょうか。
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 次回はタレントの壇蜜さんが答えます。
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 ■悩み募集
 住所、氏名、年齢、職業、電話番号、希望の回答者を明記し、郵送は〒104・8011 朝日新聞読書面「悩んで読むか、読んで悩むか」係、Eメールはdokusho−soudan@asahi.comへ。採用者には図書カード2000円分を進呈します。荻上さんと壇蜜さん以外の回答者は次の通り(敬称略)。石田純一(俳優)、斎藤環(精神科医)、穂村弘(歌人)、三浦しをん(作家)、水無田気流(詩人)、山本一力(作家)、吉田伸子(書評家)。

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