悩んで読むか、読んで悩むか

それぞれの「理由」に向き合ってみては 壇蜜さん

2017年11月19日

80年生まれ。テレビ・ラジオなどで活躍。エッセーや初の短編小説を収めた『泣くなら、ひとり』など。

■相談 ペットは家族? 再婚相手に違和感

 再婚をしようと思う相手がいます。その相手は猫を飼っており、猫が死んだら家族の墓に納骨しようと考えています。ペットを家族とするのもどうかと思ううち、だんだん好みが合わないことが分かってきました。結婚の意欲も下がっています。そんな私は「おひとりさま」として生きるしかないのでしょうか。(広島県、介護職員 男性・59歳)

■今週は壇蜜さんが回答します

 相談者さまには「高橋留美子劇場(1)」より「Pの悲劇」をおすすめします。羽賀家の住む集合住宅ではペット飼育厳禁というルールがあり、羽賀家の奥さまもそれを守って生活する善良なる住民でした。しかしある夜、羽賀家にピンチが。旦那さまがお得意様のペットのペンギンを預かってほしいと頼まれてしまうのです。自治会員の目が光るなか、ペンギンとの極秘ライフが始まります。動物が苦手または嫌いな人は悪い人か、好きだからといってルールを無視していいのか……それぞれの立場や背景とペットとの関わりが現実的に描かれています。
 人にはそれぞれ事情があります。そして「ここにいる理由」を抱えながら皆が生きています。相談者さまにも猫と人を同じお墓に入れることに抵抗を感じる理由がありますし、相談者さまの彼女も猫と離れられない理由があります。どうかそれを伝え合ってほしいのです。意にそぐわぬ要求をされたからといって、理由も聞けないまま別れてしまえばきっと後悔するでしょう。理由を共有し、「一定の受け入れ時間」をお二人の間に設けてみるのはいかがでしょうか。たとえば3カ月だけ、猫と彼女と相談者さまで暮らしたり、猫と近い生活を期限つきで試してみます。アレルギーでなければの話ですが……。
 猫好きの私には彼女の気持ちは多少理解できます。一緒のお墓は現実的に難しくても、チャンスがあれば大好きだった猫を近くに埋葬してほしいと思いますもの。相談者さまが彼女を理解しようとする時間を作ることは決して無駄ではありません。お付き合いの深さにつながり、今後のお二人の将来も見えてくるような気がします。「付き合う」ということは、それぞれが相手の抱えた理由と向き合うことです。「おひとりさま」の道を選ぶには、相談者さまの「受け止める手」はまだ少し軽いような。ひとりにはひとりの魅力もありますが、それを選ぶのは人間以外の生き物に歩み寄ってからでも遅くはないですよ。

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