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「天地創造デザイン部」 “生き物”をつくる個性的な人々

天地創造デザイン部(1) [原作]蛇蔵&鈴木ツタ [作画]たら子

 地球上の生物のなかには「誰かの想像の産物?」と疑いたくなる奇妙な姿や生態のものがいる。冷静になってみるとメジャーどころのキリンだって相当エッジのきいたデザインだし、ナマコにいたっては「どうしてそうなった!?」と問い質(ただ)したくなる。
 神の采配といえばそれまでだが、全ての生物を創造するとなるとアイデアも枯渇するだろうし、何より面倒に違いない。そこで出番となるのが、神から生物のデザインと製造を委託されている天地創造社のデザイン部だ。
 程度の差こそあれ、他の種に対して全く無関心という人はいないだろう。その辺りを突いた諧謔(かいぎゃく)的な設定もさることながら、デザイン部の個性的なメンツも面白い。かつて自分が生みだした名デザインにひきずられて不採用案連発の室長に、無茶(むちゃ)ぶり案件を形にする苦労人のエンジニア。自身の創造物への愛着から、同僚が創りだした生物と捕食関係にある生物を次々に作りだしてしまう者もいる。
 そう、本作はコメディの体裁ながら、クリエイティブな現場で現実に起こりうる仕事マンガとしても読めるのだ。苦労の末生まれた生物に改めて想(おも)いを馳(は)せれば、どいつもより魅力的に思えてくる。=朝日新聞2017年12月10日掲載