視線

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読書面に連載。画集、写真集などのビジュアル本をとりあげ、写真家の視点や被写体の造形的な美について解説します。

バックナンバー:2011年

自然の鉛筆 [著]W・H・F・トルボット [編集・翻訳]青山勝

自然の鉛筆 [著]W・H・F・トルボット [編集・翻訳]青山勝

 写真術の歴史におけるトルボットの功績は、1枚のネガから複数のポジを作成するシステムを打ち立てたことだ。  写真集というものを最初に編んだのもトルボットだった。みずからが開発した写真システムの効用を示すために、写真を1枚………[もっと読む]

[文]北澤憲昭(美術評論家) [掲載]2016年03月20日

暦の手仕事 [著]中川たま

暦の手仕事 [著]中川たま

 本書に保存食を自らつくることの素晴らしさを教えられた。一度つくったらだいたい二週間は楽しめるし、春は苺(いちご)や花わさび、初夏ならびわや新生姜(しょうが)というように、季節の到来を感じながら少しずつトライできる。レシ………[もっと読む]

[文]保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員) [掲載]2016年03月13日

ADIEU A X(アデュウ ア エックス) [著]中平卓馬

ADIEU A X(アデュウ ア エックス) [著]中平卓馬

 作者不詳の絵の値段が、ゴッホ作と確認されたとたんに跳ね上がったことがあった。作品の評価と作者を切り離して考えるのは、難しい。昨秋に77歳で死去した写真家の中平卓馬は、特にそうだ。数々の物語で、生前から「伝説の写真家」だ………[もっと読む]

[文]大西若人(本社編集委員) [掲載]2016年03月06日

せかいいちのねこ [著]ヒグチユウコ

せかいいちのねこ [著]ヒグチユウコ

 主人公のニャンコは猫のぬいぐるみ。でも、本物の猫になりたいと願っている。そのために旅に出る。  途中で、たくさんの猫たちと出会うのだが、どの猫にも微(かす)かな謎がある。或(あ)る猫は帽子で顔を隠している。或る猫はやけ………[もっと読む]

[文]穂村弘(歌人) [掲載]2016年02月21日

モードデザイナーの家 [著]イヴァン・テレスチェンコ [訳]神奈川夏子

モードデザイナーの家 [著]イヴァン・テレスチェンコ [訳]神奈川夏子

 「何かが創(つく)られる現場」が好きである。クリエイターが仕事をする場所、滞在した宿、住んでいた家は、しばしば私の旅の目的地となる。そして目下憧れているのは、いつの日か「モードデザイナーの家」を訪問すること。本書を手に………[もっと読む]

[文]原田マハ(作家) [掲載]2016年02月14日

ライトハウス すくっと明治の灯台64基 1870―1912 [撮影]野口毅 [解説]藤岡洋保

ライトハウス すくっと明治の灯台64基 1870―1912 [撮影]野口毅 [解説]藤岡洋保

 灯台の魅力は二重の先端性にある。たとえば、島根半島の西のはずれに立つ出雲日御碕(ひのみさき)灯台。日本一の高さをもつこの灯台は、海に向けて水平に突き出す岬の先端性と、天空を指す垂直の先端性とによって際立っている。これが………[もっと読む]

[文]北澤憲昭(美術評論家) [掲載]2016年02月07日

新編 太陽の鉛筆|東松照明 [編・著]伊藤俊治、今福龍太

新編 太陽の鉛筆|東松照明 [編・著]伊藤俊治、今福龍太

 本書は二冊組。一冊は東松照明の写真集『太陽の鉛筆』の新装版である。1975年に刊行されたその本で東松は、日本に復帰してまもない沖縄が東南アジアの群島のひとつにほかならないこと、海の道によって国家を超えたつながりをもって………[もっと読む]

[文]保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員) [掲載]2016年01月24日

SUPER FLASH GIRLS—超閃光ガールズ [著]趙燁

SUPER FLASH GIRLS—超閃光ガールズ [著]趙燁

 布や紙に塗られた絵の具の跡に過ぎないのに、そこに風景や人物、静物を見てしまう。それが具象絵画。つまり目は自らだまされたがっている。それに特化した存在として、だまし絵やトリックアートと呼ばれるものがある。  この本に収ま………[もっと読む]

[文]大西若人(本社編集委員) [掲載]2016年01月17日

バナナじけん [著]高畠那生

バナナじけん [著]高畠那生

「あ、バナナが ひとつ おちましたよ。」  『バナナじけん』の一行目だ。ここから何かが始まる、って雰囲気がよく出ている。続きはこうだ。 「そこへ さるが ひょろひょろ あるいてきて みちにおちている バナナをみつけました………[もっと読む]

[文]穂村弘(歌人) [掲載]2016年01月10日

SAPEURS THE GENTLEMEN OF BACONGO [著]ダニエーレ・タマーニ

SAPEURS THE GENTLEMEN OF BACONGO [著]ダニエーレ・タマーニ

 今年(2015年)、パリにある現代アート施設・カルティエ現代美術財団で「ボテ・コンゴ(コンゴの美)」という展覧会を見た。コンゴ共和国で活躍する現代アーティストたちのなんともにぎやかな作品群とともに、色鮮やかなスーツを着………[もっと読む]

[文]原田マハ(作家) [掲載]2015年12月20日

東山動植物園オフィシャルゴリラ写真集―シャバーニ! [監修]東山動植物園

東山動植物園オフィシャルゴリラ写真集―シャバーニ! [監修]東山動植物園

 擬人化が、人間のイメージを、人間以外の存在に覆い被(かぶ)せることだとすれば、名古屋の東山動植物園の人気者、ゴリラのシャバーニは、まちがいなく擬人化されている。  名前を与えられているのもさることながら、写真集の各ペー………[もっと読む]

[文]北澤憲昭(美術評論家) [掲載]2015年12月13日

画家の詩、詩人の絵 絵は詩のごとく、詩は絵のごとく [企画・監修]土方明司、江尻潔 [監修]木本文平

画家の詩、詩人の絵 絵は詩のごとく、詩は絵のごとく [企画・監修]土方明司、江尻潔 [監修]木本文平

 普段まとめて見る機会があまりない詩人の絵が面白い。  正岡子規が1900年に描いた自画像は、顔のほとんどが影となっている。この年の夏の大量喀血(かっけつ)との前後関係は不明。それが不気味さを増す。  かわいいものもある………[もっと読む]

[文]保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員) [掲載]2015年12月06日

新居浜—日本 〈工都〉の美術史と地方創生 [編]新居浜市美術館

新居浜—日本 〈工都〉の美術史と地方創生 [編]新居浜市美術館

 黒田清輝や浅井忠、岸田劉生の作品があり、戦後は小磯良平、「実験工房」や未来画の真鍋博までが載っている。  ごく正統的な日本近代美術史の作品集のようだが、愛媛県・新居浜市美術館の開館記念展(12月20日まで)の図録として………[もっと読む]

[文]大西若人(本社編集委員) [掲載]2015年11月22日

アンリくん、パリへ行く [絵]S・バス [文]L・クライン [訳]松浦弥太郎

アンリくん、パリへ行く [絵]S・バス [文]L・クライン [訳]松浦弥太郎

 グラフィック・デザイナーの絵本というジャンルがある。ポール・ランドやブルーノ・ムナーリの作品が知られているが、それらは生粋の絵本作家の絵本とは、どこか毛色が違っている。現実を自然に描くのではなく、大きく組み換えてもう一………[もっと読む]

[文]穂村弘(歌人) [掲載]2015年11月15日

庭猫 [著]安彦幸枝

庭猫 [著]安彦幸枝

 ところで、あなたはイヌ派ですか? それともネコ派? イヌ派とネコ派は、きっぱり線引きされているように、私には思われる。たとえば、犬好きの人々は、犬のグッズや犬の写真集を所有することにさほど執着しないように思う。一方で、………[もっと読む]

[文]原田マハ(作家) [掲載]2015年11月08日

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

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