文豪の朗読

文豪の朗読

文豪の朗読

読書面に連載。朝日新聞が所蔵する文豪たちの自作の朗読を、識者が聴き、作品の魅力とともに読み解きます。(2016年春開始・2017年春終了)
→朝日新聞デジタル「文豪の朗読」(音声あり)http://www.asahi.com/culture/art/bungo-roudoku/

川端康成「雪国」 島田雅彦が聴く

川端康成「雪国」 島田雅彦が聴く

■生の燃焼と孤独な魂の交感  日本の鉄道はトンネルの数が極めて多く、しかも長いものが多い。トンネルをくぐるたびに『雪国』の冒頭のフレーズを思い出しながら、抜けた先に出現する別世界に誘われる。鉄道もトンネルもなかった時代………[もっと読む]

[文]島田雅彦(作家) [掲載]2017年03月26日

辻邦生「安土往還記」 本郷和人が聴く

辻邦生「安土往還記」 本郷和人が聴く

■生の燃焼と孤独な魂の交感  夏の一夜、城下の人々は大殿(シニョーレ)の命により、すべての灯(あか)りを消し、息を潜めていた。やがて烽火(のろし)が上がると、一斉に火が掲げられ、城郭の全貌(ぜんぼう)が照らし出された。………[もっと読む]

[文]本郷和人(歴史学者) [掲載]2017年03月19日

北杜夫「白きたおやかな峰」 堀江敏幸が聴く

北杜夫「白きたおやかな峰」 堀江敏幸が聴く

■滑落の危機も平坦に華麗に  一九五八年秋から翌年春にかけて、北杜夫は漁業調査船に船医として乗り込み、インド洋から欧州までの航海を体験した。帰国後に発表した『どくとるマンボウ航海記』は、絶妙な自虐をまじえたユーモラスな………[もっと読む]

[文]堀江敏幸(作家) [掲載]2017年03月12日

安東次男「ある静物」「死者の書」 朝吹真理子が聴く

安東次男「ある静物」「死者の書」 朝吹真理子が聴く

■語り得ぬものを語る詩  私は、安東次男のファンである。会ったことはない。でも、彼が遺(のこ)した作品への敬意と親しさをこめて、あんつぐ、と彼のことを呼んでいる。  はじめて読んだのは『芭蕉七部集評釈』だった。評釈書だ………[もっと読む]

[文]朝吹真理子(作家) [掲載]2017年03月05日

高橋たか子「きれいな人」 江國香織が聴く

高橋たか子「きれいな人」 江國香織が聴く

■透明な空気感にさらわれる  親交のあるフランス人女性(名前はシモーヌ)の百歳の誕生日パーティに招かれて、語り手である七十歳前後の日本人女性が、日本からフランスにでかけて行く。パーティの席上で、招待客に詩集が配られる。………[もっと読む]

[文]江國香織(作家) [掲載]2017年02月26日

三島由紀夫「旅の絵本」 山下澄人が聴く

三島由紀夫「旅の絵本」 山下澄人が聴く

■早熟で生意気な少年のよう  朗読の音源を再生しようと「▲」のマークをさわると突然奇妙な叫び声が聞こえて間違えたのかとあわてて消した。  聞き直して叫び声は剣道の気合だとわかった。剣道はどうしてああした声を出すのだろう………[もっと読む]

[文]山下澄人(作家・劇団主宰) [掲載]2017年02月19日

辻井喬「わたつみ 敗戦五十年に」 島田雅彦が聴く

辻井喬「わたつみ 敗戦五十年に」 島田雅彦が聴く

■戦争の記憶、手探りする言葉  昭和二(1927)年生まれの辻井喬は三島由紀夫とほぼ同世代で、高校生で敗戦を迎えており、戦争と占領のさなかで青春期を過ごしたため、かなり屈折した自我を抱え込んだ。戦後の焼跡(やけあと)は………[もっと読む]

[文] 島田雅彦 (作家・法政大学教授) [掲載]2017年02月12日

尾崎士郎「篝火」 本郷和人が聴く

尾崎士郎「篝火」 本郷和人が聴く

■粘りけある文体を粘っこく  うーん、良くも悪くも尖(とが)ったところのない朗読である。自作を読むなんてご免だとばかりに逃げていく遠藤周作のような、聞きづらさはない。といって吉村昭のような説得力もない。ごく普通に読む。………[もっと読む]

[文]本郷和人(歴史学者) [掲載]2017年02月05日

海音寺潮五郎「西郷と大久保」 佐伯一麦が聴く

海音寺潮五郎「西郷と大久保」 佐伯一麦が聴く

■「卑怯でごわすぞ」会議緊迫  伊達政宗の御霊屋がある仙台市の瑞鳳(ずいほう)殿に至る坂の途中に、鹿児島県人七士の墓がある。明治十(一八七七)年の西南戦争に従軍した薩摩軍兵士たちは、国事犯として全国の監獄署に護送され、………[もっと読む]

[文]佐伯一麦(作家) [掲載]2017年01月29日

井伏鱒二「屋根の上のサワン」 堀江敏幸が聴く

井伏鱒二「屋根の上のサワン」 堀江敏幸が聴く

■魂のバリアフリーの温(あった)かみ  沼地の近くを散歩していた語り手の「私」は、傷ついた雁(がん)を見つけて家に連れ帰り、手当をしてやる。苦労の甲斐(かい)あって元気になると、今度は逃げないように両方の翼の風切羽根を………[もっと読む]

[文]堀江敏幸(作家) [掲載]2017年01月22日

吉行淳之介「私の文学放浪」 朝吹真理子が聴く

吉行淳之介「私の文学放浪」 朝吹真理子が聴く

■美人の逸話もあっさりと  吉行淳之介の朗読は聞き取りやすい。発せられる声と書かれた言葉に違和感がないから、聞いていて、とても楽しかった。これまでいくつか聞いてきた自作朗読のなかで、作家本人が読んでいるという実感があっ………[もっと読む]

[文]朝吹真理子(作家) [掲載]2017年01月15日

谷川俊太郎「理想的な詩の初歩的な説明」「かっぱ」など 江國香織が聴く

谷川俊太郎「理想的な詩の初歩的な説明」「かっぱ」など 江國香織が聴く

■詩人は宇宙人か一輪の花か  すっきりした声による、明晰(めいせき)な朗読。声が言葉と一体化している。無駄なものが何もないのがおもしろい。“理想的な詩の初歩的な説明”という、いかにも谷川俊太郎的な題名の詩のなかに、「詩………[もっと読む]

[文]江國香織(作家) [掲載]2017年01月08日

大佛次郎「赤穂浪士」 本郷和人が聴く

大佛次郎「赤穂浪士」 本郷和人が聴く

■自由人・内蔵助の敵討ち  1927年(昭和2年)3月、蔵相の「失言」をきっかけとして折からの金融不安が一挙に表面化し、取り付け騒ぎが発生した。台湾銀行が休業に追い込まれ、多くの中小企業が倒産し、失業者が町にあふれた。………[もっと読む]

[文]本郷和人(歴史学者) [掲載]2016年12月18日

有吉佐和子「華岡青洲の妻」 木内昇が聴く

有吉佐和子「華岡青洲の妻」 木内昇が聴く

■声に宿る、戦う人生の凄み  戦後の女性について、有吉佐和子はこう語っている。「幸福を追い求める姿勢に厳しさがたりない」。1960年代流行したコピーに、「家付きカー付き婆(ばばあ)抜き」がある。マイホームに車持ちだが姑………[もっと読む]

[文]木内昇(作家) [掲載]2016年12月11日

水上勉「越前竹人形」 島田雅彦が聴く

水上勉「越前竹人形」 島田雅彦が聴く

■老イケメンの演歌なぼやき  私より四十二歳年長の水上勉氏とは何度かお目にかかったことがあり、その圧倒的な存在感を前に萎縮するしかなかったが、水上氏の方は若者が好きなようで、きさくに世間話を振ってもらえたし、持っていた………[もっと読む]

[文]島田雅彦(作家) [掲載]2016年12月04日

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