視線

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読書面に連載。画集、写真集などのビジュアル本をとりあげ、写真家の視点や被写体の造形的な美について解説します。

バックナンバー:2011年

山下清の放浪地図―昭和の日本をぶらりぶらり [監修]山下浩

山下清の放浪地図―昭和の日本をぶらりぶらり [監修]山下浩

 生誕90年にして、没後41年。あの山下清も、若い世代の中には知らない人がいるかもしれない。今こそ、もう一度、画家として見つめ直す好機なのかもしれない。  そんな時期にふさわしい一冊だろう。「裸の大将」を強調することもな………[もっと読む]

[文]大西若人(本社編集委員) [掲載]2012年05月20日

俵屋相伝 受け継がれしもの [著]佐藤年

俵屋相伝 受け継がれしもの [著]佐藤年

 本書は、なぜかくも美しいのか。老舗旅館俵屋のおよそ300年の歴史が醸す重層的な美や、舘(やかた)の細部に宿る無数の美について語ることなど、私には出来そうにないが、あえて一言するなら、それは「明と暗が織りなす綾(あや)」………[もっと読む]

[文]森村泰昌(美術家) [掲載]2012年05月13日

掌の縄文 [著]港千尋

掌の縄文 [著]港千尋

 縄文土器の形状は、手に誘いかける。ただし、それは、機能性を重んじるプロダクトデザインの場合とは、まったく異なっている。  たとえばティーカップは、身体に即した形態によって「飲む」という行為を誘発するが、縄文土器の形態や………[もっと読む]

[文]北澤憲昭(美術評論家) [掲載]2012年05月06日

新装版 デッサン・ド・モード 美しい人を描く [著]長沢節

新装版 デッサン・ド・モード 美しい人を描く [著]長沢節

 教本にありがちな無味乾燥な記述はこの本とは無縁である。なぜか。それは長沢節のデッサンが、真摯(しんし)な探求の結果であるからだ。  彼はファッション・イラストレーターの第一人者だった。であればこそ、手の美しさは顔との関………[もっと読む]

[文]保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員) [掲載]2012年04月22日

DOMA秋岡芳夫―モノへの思想と関係のデザイン [編]目黒区美術館

DOMA秋岡芳夫―モノへの思想と関係のデザイン [編]目黒区美術館

 石をかち割るあたりに始まり、道具を使い、やがて工業化から、さらには大量化へ。人類のものづくりの歴史とは、まあこんなところだろう。ところが本書の写真入り年表は、まるで逆。古い時代に家電品があり、時代とともに、なにやら木工………[もっと読む]

[文]大西若人(本社編集委員) [掲載]2012年04月15日

これ、わたし 月刊「たくさんのふしぎ」2011年12月号 [著]さわだともこ

これ、わたし 月刊「たくさんのふしぎ」2011年12月号 [著]さわだともこ

 澤田知子のセルフポートレイト写真は、子供達(たち)におおいにアピールする可能性がある。小学3、4年生が対象の「たくさんのふしぎ」シリーズの一冊として出た『これ、わたし』を見て、そう思った。  澤田は童顔である。「こども………[もっと読む]

[文]森村泰昌(美術家) [掲載]2012年04月08日

世界を見に行く。 [著]石川直樹 [構成・文]奥野武範

世界を見に行く。 [著]石川直樹 [構成・文]奥野武範

 石川直樹が撮り歩いた地球各地の写真を収めた本書には凝った仕掛けがほどこされている。  横長の各ページは、写真絵はがきと、それにまつわる短いエッセイによって構成され、境にはミシンが入っている。文章は絵はがきの半分のサイズ………[もっと読む]

[文]北澤憲昭(美術評論家) [掲載]2012年04月01日

サイクルペディア 自転車事典 [著]マイケル・エンバッハー [訳]一杉由美

サイクルペディア 自転車事典 [著]マイケル・エンバッハー [訳]一杉由美

 ブレーキなしの車輛(しゃりょう)による事故の増加に飲酒運転の取り締まり。自転車をめぐる最近の話題はなんだか暗いものばかりだけれど、言い換えれば、そろそろ「私たちにとって自転車とはなんなのか」と考えてみる必要がある頃合(………[もっと読む]

[文]保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員) [掲載]2012年03月18日

crosspoint [著]P.M.Ken

crosspoint [著]P.M.Ken

 この作品集に抱く驚きは、『キムラカメラ』を見た時に近い。マンハッタンの摩天楼が滝にのみ込まれる様子をあしらった表紙が強烈な一冊。1979年の、木村恒久のフォト・モンタージュ集だ。  でも写真を貼り合わせて驚きの光景を生………[もっと読む]

[文]大西若人(本社編集委員) [掲載]2012年03月11日

深読み!日本写真の超名作100 [著]飯沢耕太郎

深読み!日本写真の超名作100 [著]飯沢耕太郎

 日本の写真は、1857年に島津斉彬(なりあきら)公を撮影した一枚の銀板写真に始まる。それからおよそ155年が経過した今日にいたるまでに撮られた写真の枚数は、天文学的数字となるだろう。本書にはそこから、101点の写真が選………[もっと読む]

[文]森村泰昌(美術家) [掲載]2012年03月04日

寺社の装飾彫刻 宮彫り――壮麗なる超絶技巧を訪ねて [著]若林純

寺社の装飾彫刻 宮彫り――壮麗なる超絶技巧を訪ねて [著]若林純

 形象の百花繚乱(ひゃっかりょうらん)といえばよいだろうか。草木、花鳥、獣類、海波、人物、器物、そして翼竜など想像上の動物に至るまで、神話、伝説、文様などに由来するものたちの姿が、あるいは極彩色に包まれ、あるいは素木のま………[もっと読む]

[文]北澤憲昭(美術評論家) [掲載]2012年02月19日

老いのくらしを変えるたのしい切り紙 [著]井上由季子

老いのくらしを変えるたのしい切り紙 [著]井上由季子

 本書が薦める切り紙とは、紙をある形に切って、ノートに貼っていくものづくりのことだ。シンプルだけれど、いくつか重要なポイントがある。毎日続けること。モチーフは徳利(とっくり)や鳥など自分の好きなものひとつに絞ること。そし………[もっと読む]

[文]保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員) [掲載]2012年02月12日

東京|天空樹 [著]佐藤信太郎

東京|天空樹 [著]佐藤信太郎

 東京スカイツリーの、定点観測ならぬ移動点観測の記録。工事初期の2008年12月から姿が固まる昨年8月まで、一カ所から成長を見守るのではなく、カメラをツリーに向けつつ近づいたり離れたり、周囲を回って撮影する。そんな50点………[もっと読む]

[文]大西若人(本社編集委員) [掲載]2012年02月05日

花森安治のデザイン 『暮しの手帖』創刊から30年間の手仕事 [編]暮しの手帖社

花森安治のデザイン 『暮しの手帖』創刊から30年間の手仕事 [編]暮しの手帖社

 本書は、編集者花森安治が描いた「暮しの手帖」誌の表紙をはじめとする、様々なデザインワークを収録した美しい本である。「暮しの手帖」誌1世紀32号に花森が書いた文字「かあいい動物たち」にならえば、その類い稀(まれ)なる美と………[もっと読む]

[文]森村泰昌(美術家) [掲載]2012年01月22日

写真集・火の見櫓 [著]石川元之

写真集・火の見櫓 [著]石川元之

 火災報知機が普及し、携帯電話などの通信機器が発達した今日、「火の見櫓」は、すでに火災発見の用を成してはいない。  それにもかかわらず「火の見櫓」と称される鉄骨の塔が各地に健在なのは、広域にわたる警報や、消防団のホースを………[もっと読む]

[文]北澤憲昭(美術評論家) [掲載]2012年01月15日

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

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