文理悠々

文理悠々

文理悠々

「小説が好きだから科学記者になった」。そんな朝日新聞OB、尾関章による書評コラム。文系、理系の壁を越えて本の世界の魅力を伝えます。

余震の中でシミュレーションを読む

余震の中でシミュレーションを読む

 余震、そして余震の日々である。先触れにテレビが鳴る。ケータイがうなる。そしてたいがいは、直後に床が震えはじめ、天井につるされた表示板などが揺れ始める。自分の身の回りが大丈夫そうだとわかったとたん、頭に浮かぶのは「フクシ………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2011年04月21日

ルソーから原子力文明を射る

ルソーから原子力文明を射る

 心はいまだ落ち着かず、古典が読みたくなる春である。そんなこともあって今週は、フランスの思想家ジャン・ジャック・ルソー(1712~1778)の一冊を開こう。『孤独な散歩者の夢想』(ルソー著、青柳瑞穂訳、新潮文庫)。  こ………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2011年04月14日

宮沢賢治のHello,Mr.Sunshine

宮沢賢治のHello,Mr.Sunshine

 震災の重たい気分の中で「ハロー、ミスター・サンシャイン」と思わず口ずさんでいることがある。耳に残る懐かしい曲の歌いだしだ。曲名は文字通り、“Hello,Mr.Sunshine”。1970年代半ば、インスタントコーヒーの………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2011年04月07日

僕たちは、カミュ的状況にいるのか

僕たちは、カミュ的状況にいるのか

 自然災害で多くを失った人々を支えるべきときなのに、技術災害の目に見えない脅威で自分の足もとが気が気でない。いま首都圏に住む人々の心境をひと言で言い表せば、そんなことになるだろうか。  マグニチュード9のプレート境界型地………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2011年03月31日

原発災禍で思う市民科学の大切さ

原発災禍で思う市民科学の大切さ

 いま原発批判の論客、高木仁三郎さんが生きていたら何を語るだろうか。一つだけ、断言できることがある。それ見たことか、とは口が裂けても言うまいということだ。宮澤賢治を愛した、心優しい高木さんは、東北地方を「面」で襲った津波………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2011年03月24日

原発という名の「不確実」

原発という名の「不確実」

 津波に続いて、放射能が追い打ちをかけた。安否不明の人々の数を聞いて、ただ呆然と立ち尽くすばかりだ。まさに複合巨大災害といえまいか。3月11日の昼下がり、突然日本列島を揺さぶった東日本大震災の衝撃はあまりに大きい。そこで………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2011年03月18日

幻影の英国--キャサリンのNZ

幻影の英国--キャサリンのNZ

 海外の災害が実感として「対岸の火事」でなくなったのは、ここ10年ほどのことではないだろうか。1980年代にCNNの国際ニュースが流れ、90年代にはインターネットが広まった。嵐であれ、噴火であれ、津波であれ、遠くの天変地………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2011年03月10日

頂点の強者考--人と獣は違うのだ

頂点の強者考--人と獣は違うのだ

 中東世界で民衆の蜂起が続いている。流血の事態だけは避けてほしいと願うばかりだが、人々が立ち上がって独裁者の圧政を絶つという構図には、どこか熱くなるものがある。僕自身が、世界中の若者たちが既成の価値観に反旗を翻したあの1………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2011年03月03日

清張と東京--ブラタモ風60年発掘

清張と東京--ブラタモ風60年発掘

 四半世紀前、『乱歩と東京』(松山巖著、PARCO出版局、1984年)という本が話題を呼んだ。建築の素養がある著者は、乱歩を読み解きながら、その描写を手がかりに1920年代の東京の街模様、建物事情をつづっていた。それにな………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2011年02月24日

阿刀田カルチャー流「清張」読解

阿刀田カルチャー流「清張」読解

 新書は軽い、とお嘆きの諸姉諸兄へ。僕もまたそのひとりなのだが、軽さがうまく決まると、重い本では得られない読後感が心に残る。今週はそんな1冊、『松本清張を推理する』(阿刀田高著、朝日新書)をご紹介しよう。  街の本屋をの………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2011年02月17日

哲人科学者、多田富雄の「自己」論

哲人科学者、多田富雄の「自己」論

 今週は、「文理両道」の名にふさわしい哲人科学者の話をしようと思う。免疫学者にして詩人、能の作家でもある故・多田富雄さんである。  多田さんは去年4月に亡くなられた。その追悼特集というべきものが藤原書店刊の学芸総合誌『環………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2011年02月10日

横山秀夫ミステリーの魔力

横山秀夫ミステリーの魔力

 たくさんの本をバッグに詰めて、新幹線で読もう、ホテルで寝る前にも読もう、と出張に出る。ところが、仕事を終えて帰りの列車に乗る段になると、募る疲労でとても読みかけの本を読み続けるパワーがない。きっと10ページも進むことな………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2011年02月03日

列島の歩き方--足もとのモザイク

列島の歩き方--足もとのモザイク

 「ブラタモリ」というNHKの番組を見たら、タモリさんたちが東京の羽田界隈を歩いていた。おもしろかったのは、路地の向きの微妙な違いから街の歴史に想像を広げるひとこま。時代によって海岸線の場所が変わるこの一帯では、路地がど………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2011年01月27日

「悪人」という名の落とし穴

「悪人」という名の落とし穴

 さすが、映画が評判を呼ぶだけのことはある。読んでみても、ずしりと響く。キネマ旬報が去年の邦画第1位に選んだ作品の原作『悪人』(吉田修一著、朝日文庫、上下巻)である。  2000年代ニッポンの地方都市に生きる人々のリアル………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2011年01月20日

「走れウサギ」を走り読み

「走れウサギ」を走り読み

 えとのウサギが人々の脳裏から消えないうちに、どうしてもナビしてみたい本がある。ちょうど2年前の1月、76歳で生涯を閉じた米国の作家ジョン・アップダイクの『走れウサギ』(宮本陽吉訳、白水社「世界の文学」)だ。  米国戦後………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2011年01月13日

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

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