文豪の朗読

文豪の朗読

文豪の朗読

読書面に連載。朝日新聞が所蔵する文豪たちの自作の朗読を、識者が聴き、作品の魅力とともに読み解きます。(2016年春開始・2017年春終了)

武者小路実篤「淋しい」 山下澄人が聴く

武者小路実篤「淋しい」 山下澄人が聴く

■うじうじ転じておかしみに  「今の自分に男らしい所は少しもない。  元気もない、活気もない。  そうしてあの世に行ったら、お貞さんや、まきや、彼女に、僕は淋しい生涯を送って来ました、これが貴女(あなた)達の下さった最………[もっと読む]

[文]山下澄人(作家・劇団主宰) [掲載]2016年11月27日

安岡章太郎「サアカスの馬」 堀江敏幸が聴く

安岡章太郎「サアカスの馬」 堀江敏幸が聴く

■ぱっとしない少年に声援を  安岡章太郎の「サアカスの馬」は、長年にわたり国語の教科書の定番として親しまれてきた、ある世代にとっては、教室で幾度も読まされ、「解釈」を強いられた負の記憶もふくめて、思い出深い作品のひとつ………[もっと読む]

[文]堀江敏幸(作家) [掲載]2016年11月20日

吉村昭「鰭紙」 本郷和人が聴く

吉村昭「鰭紙」 本郷和人が聴く

■生きることの重みを伝える  タイトルの鰭紙(ひれがみ)とは、紙に貼る付箋(ふせん)のこと。吉村昭は原稿用紙10枚の短編を朗々と読む。その深い声は、短くも凄惨(せいさん)な話に、更なる奥行きを与えている。  大学で経済………[もっと読む]

[文]本郷和人(歴史学者) [掲載]2016年11月13日

安岡章太郎「アメリカ感情旅行」 リービ英雄が聴く

安岡章太郎「アメリカ感情旅行」 リービ英雄が聴く

■どきっとさせる洞察とおおらかさ  安岡章太郎はまさに日本の戦後文学の中で巨大な存在だったが、どの国の大作家もそうであるように、その文体がある種の「人格」となっている。そして洋の東西を問わず、大作家ならさまざまなジャン………[もっと読む]

[文]リービ英雄(作家) [掲載]2016年11月06日

野上弥生子「海神丸」 朝吹真理子が聴く

野上弥生子「海神丸」 朝吹真理子が聴く

■文より肉声で意味がわかる快楽  マイヤというイラク系アメリカ人と親しくなった。彼女はミシガン州で小さな出版社と本屋を経営していた。その本屋では時折朗読会がひらかれるらしい。彼女はアルメニア語を母語としていて、一度、西………[もっと読む]

[文]朝吹真理子(作家) [掲載]2016年10月30日

遠藤周作「おバカさん」 江國香織が聴く

遠藤周作「おバカさん」 江國香織が聴く

■奇妙な早口に「ほんっとう」の愛  終戦から十数年後の東京に住む兄妹のところに、一人のフランス人がやってくる。馬のように顔の長い、おっとりした、人の好(よ)い青年で、ガストンという名前だ。もともとガストンのペンフレンド………[もっと読む]

[文]江國香織(作家) [掲載]2016年10月23日

開高健「ベトナム戦記」 山下澄人が聴く

開高健「ベトナム戦記」 山下澄人が聴く

■多弁な人の速い声が聞こえる    開高健の声は子どものようだ。甲高くて速い。  ほとんど本を読まなかった若いとき、唯一見つけたら読んでいたのが開高健で、『オーパ!』から読みはじめて出ていた本をほとんどさかのぼるように………[もっと読む]

[文]山下澄人(作家・劇団主宰) [掲載]2016年10月16日

倉橋由美子「ある老人の図書館」 島田雅彦が聴く

倉橋由美子「ある老人の図書館」 島田雅彦が聴く

■特異な物語、優しく可愛く 倉橋由美子「ある老人の図書館」(『老人のための残酷童話』より)  倉橋由美子さんとは実際にお会いする機会には恵まれなかったが、よく長電話に付き合わされた。「倉橋でしゅ」という優しく可愛い口調………[もっと読む]

[文]島田雅彦(作家) [掲載]2016年10月09日

井上靖「氷壁」 角幡唯介が聴く

井上靖「氷壁」 角幡唯介が聴く

■絶叫をつぶやきに変える冬山性  井上靖の朗読を聞いたのは初めてだが、きわめて抑揚のない語り方をする人だ。感情が表に出るのを避け、一定のペースを頑(かたく)なに守り、決められた音域からはみ出さないように意識しているかの………[もっと読む]

[文]角幡唯介(ノンフィクション作家) [掲載]2016年10月02日

吉川英治「新・平家物語」 本郷和人が聴く

吉川英治「新・平家物語」 本郷和人が聴く

■戦後の傷いやした大切な「うそ」  平清盛はまぎれもない「おぼっちゃま」である。祖父も父も豊かな国の国司(知事にあたるが公然と税収を私物化できる)を歴任し、美麗な寺院をドン!と上皇たちに献上した。そんな名家の若様が、こ………[もっと読む]

[文]本郷和人(歴史学者) [掲載]2016年09月25日

小島信夫「肖像」 いとうせいこうが聴く

小島信夫「肖像」 いとうせいこうが聴く

■リスナー惑わす、入れ子構造  小島信夫(1915~2006)というのはまことに奥行きの不思議な作家で、『小島信夫短篇集成』の中にも私自身解説を書かせていただき、特に『郷里の言葉』という作品について、言葉そのものを彼が………[もっと読む]

[文]いとうせいこう(作家) [掲載]2016年09月18日

志賀直哉「山鳩」 朝吹真理子が聴く

志賀直哉「山鳩」 朝吹真理子が聴く

■この世のどうしようもなさ  十代のころ、海沿いの旅館で「山鳩」を読んだ。温泉からあがって、けだるくなったからだを横たえて、持ってきていた志賀直哉の短篇(たんぺん)のうちのひとつだった。短いのに、読んだあとつぎの話へと………[もっと読む]

[文]朝吹真理子(作家) [掲載]2016年09月11日

吉行淳之介「娼婦の部屋」 江國香織が聴く

吉行淳之介「娼婦の部屋」 江國香織が聴く

■ぼそぼそと読む茫漠の世界  吉行淳之介は、彼以前にも彼以後にも類を見ない、繊細で独特で、果てしなく寂寞(せきばく)とした、風味のいい作家だ。彼の小説にでてくる男たちはみんなつかみどころがなく、女たちはなおのことつかみ………[もっと読む]

[文]江國香織(作家) [掲載]2016年09月04日

長谷川伸「関の弥太ッペ」 山下澄人が聴く

長谷川伸「関の弥太ッペ」 山下澄人が聴く

■「ほんとう」が伝わる、淀みない肉声  無実の学者。ぼくが演出をして長谷川伸を何かの役に使うなら、堅物というわけではないが道に外れたことには一切手を出さず実直に古文書なんかを研究してきた七十近い学者が電車の中でヘソとか………[もっと読む]

[文]山下澄人(作家・劇団主宰) [掲載]2016年08月28日

野上弥生子「秀吉と利休」 島田雅彦が聴く

野上弥生子「秀吉と利休」 島田雅彦が聴く

■色気さえ漂う理知的な声  歴史小説はいわずもがな、映画、テレビドラマ、マンガ、ゲーム等で、秀吉や利休のイメージは再現され続けている。戦国時代に残された資料は極めて少ない中、イエズス会の宣教師たちが残した日本報告にその………[もっと読む]

[文]島田雅彦 [掲載]2016年08月21日

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

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