文豪の朗読

文豪の朗読

文豪の朗読

読書面に連載。朝日新聞が所蔵する文豪たちの自作の朗読を、識者が聴き、作品の魅力とともに読み解きます。(2016年春開始・2017年春終了)
→朝日新聞デジタル「文豪の朗読」(音声あり)http://www.asahi.com/culture/art/bungo-roudoku/

遠藤周作「沈黙」 本郷和人が聴く

遠藤周作「沈黙」 本郷和人が聴く

■イエスは厳父か慈母か、揺れる声  へたくそな朗読だな。一気呵成(いっきかせい)の音読で何を言っているのか分からない。ゆっくりと、一語一語をはっきり発音するだけで全然違うのに。それが正直な感想だった。けれども、考え直し………[もっと読む]

[文]本郷和人 [掲載]2016年08月14日

五木寛之「青春の門」「さらば モスクワ愚連隊」+新録音 いとうせいこうが聴く

五木寛之「青春の門」「さらば モスクワ愚連隊」+新録音 いとうせいこうが聴く

■自意識を抑え、文と共に歩む  音楽を重要視する点で、五木氏は自分の重要な先達だと思っているし、確かそういった話を直接したこともあると思う。  元の録音はそれに関する質問から始まり、あれこれ続いてからようやく朗読に入る………[もっと読む]

[文]いとうせいこう(作家) [掲載]2016年08月07日

武者小路実篤「友情」 奥泉光が聴く

武者小路実篤「友情」 奥泉光が聴く

■泣きながら読む、励ますように  主人公野島は知り合いの妹杉子を好きになる。このことを親友の大宮に相談すると、大宮は野島の恋を応援してくれる。大宮は杉子に野島の素晴らしさを説く。ところがそうしているうちに杉子は大宮が好………[もっと読む]

[文]奥泉光(作家) [掲載]2016年07月31日

室生犀星「鐵集」 江國香織が聴く

室生犀星「鐵集」 江國香織が聴く

■神妙で無心、詩人の「文学的遺言」  訛(なまり)のある声で訥々(とつとつ)と、詩人は『鐵(くろがね)集』から幾つかの詩を選んで読んでいる。緊張しているのか、ときどきつっかえながら、あまり嬉(うれ)しくなさそうに。その………[もっと読む]

[文]江國香織 [掲載]2016年07月24日

長谷川伸「一本刀土俵入」 朝吹真理子が聴く

長谷川伸「一本刀土俵入」 朝吹真理子が聴く

■芝居で見たい!戯曲の「本読み」  「それでは、はじめます」と、長谷川伸が朗読の開始を告げるところからはじまる。『一本刀土俵入』は歌舞伎でみたことがあった。親子の情や忠義とは違う、風に吹き寄せられてたまたま仲良くなった………[もっと読む]

[文]朝吹真理子 [掲載]2016年07月17日

北杜夫「どくとるマンボウ航海記」 島田雅彦が聴く

北杜夫「どくとるマンボウ航海記」 島田雅彦が聴く

■著者もふき出す、とぼけた見聞録  平均所得を増やし、国民の購買力を高める高度成長には段階があり、最初は家電の導入で家庭生活を充実させることから始め、次いで車と持ち家を手に入れ、次に教育に力を入れ、海外旅行熱が高まった………[もっと読む]

[文]島田雅彦(作家) [掲載]2016年07月10日

海音寺潮五郎「武将列伝 勝海舟」 本郷和人が聴く

海音寺潮五郎「武将列伝 勝海舟」 本郷和人が聴く

■明治維新で「きれいに負けた」男  他の国より強烈に機能する日本における「世襲」の原理と社会の関係を時間軸にそって考察することは、歴史研究者としての私の重要なテーマの一つである。国内の政争や戦乱がさまで凄惨(せいさん)………[もっと読む]

[文]本郷和人(歴史学者) [掲載]2016年07月03日

開高健「ベトナム戦記」 いとうせいこうが聴く

開高健「ベトナム戦記」 いとうせいこうが聴く

■標準語の文×関西の音=「嫉妬」  今、『国境なき医師団を見に行く』という個人的な連載をネットで続けているのだが、書く時に意識しているのは開高健『ベトナム戦記』なのだった。私はむしろ小説の開高を面白がって来たのに、結局………[もっと読む]

[文]いとうせいこう(作家) [掲載]2016年06月26日

大佛次郎「帰郷」 江國香織が聴く

大佛次郎「帰郷」 江國香織が聴く

■抑制の妙、批評も思考も軽やかに  名前の字面や風貌(ふうぼう)から、もっと重々しい声を想像していた。こんな声だったのか! とだからまず驚いた。高い、線の細い、軽やかな声。ちっとも文豪ぶらない声だ。文豪なのに。  その………[もっと読む]

[文]江國香織(作家) [掲載]2016年06月19日

野上弥生子「迷路」 奥泉光が聴く

野上弥生子「迷路」 奥泉光が聴く

■傑作ゆえ、ため息まじりの平板さ  物語は元来口演されたものであって、かたり手の声やパフォーマンスとともにあったことは云(い)うまでもない。文字で書かれた物語、と定義して的外れではない小説は、だから口演に馴染(なじ)み………[もっと読む]

[文]奥泉光(作家) [掲載]2016年06月12日

川端康成「伊豆の踊子」 朝吹真理子が聴く

川端康成「伊豆の踊子」 朝吹真理子が聴く

■もぬけのからのような響き  耳をそばだてても、いったい、どの場面を朗読しているのかわからなかった。言葉から立ちのぼってくるのは、小説の光景ではなかった。朗読者の喉元(のどもと)のイメージばかり浮かぶ。言葉は発せられた………[もっと読む]

[文]朝吹真理子(作家) [掲載]2016年06月05日

井上靖「天平の甍」 本郷和人が聴く

井上靖「天平の甍」 本郷和人が聴く

■師弟の平凡な対話に「有縁」の絆  奈良時代。仏教界には僧侶が守るべき戒律が伝わっていなかった。不純な理由での出家も相次ぎ、僧尼の堕落が甚だしかった。僧界を律するために、唐から師を招き、受戒の制度を整えねばならぬ。その………[もっと読む]

[文]本郷和人(歴史学者) [掲載]2016年05月29日

武者小路実篤「お目出たき人」 島田雅彦が聴く

武者小路実篤「お目出たき人」 島田雅彦が聴く

■不器用で誠実、早口で畳み掛け  自分は女に飢えているが、彼女ならこの飢えを癒(いや)してくれると信じて、口すらきいたことのない女を見初め、彼女に幸あれと願いつつ、熱烈に追いかけ回す。勘違いの片思いも度が過ぎれば、完全………[もっと読む]

[文]島田雅彦(作家) [掲載]2016年05月22日

佐藤春夫「秋刀魚の歌」 江國香織が聴く

佐藤春夫「秋刀魚の歌」 江國香織が聴く

■恋愛の喪失、飄々とやさしく  温和な声だ。感情を込めない、さっぱりした読みぶり。こうでなくちゃ、と思う。「秋刀魚(さんま)の歌」は、静かで哀(かな)しい恋愛(の喪失)の詩で、背景にはかの有名な小田原事件(一九二一年)………[もっと読む]

[文]江國香織(作家) [掲載]2016年05月15日

谷崎潤一郎「細雪」 島田雅彦が聴く

谷崎潤一郎「細雪」 島田雅彦が聴く

■言葉を舐めるように慈しむ  近代文学は基本、黙読を前提にしていて、その音韻的効果はあまり重要視されなかった。だが、谷崎は説経節のような口承文学の伝統を意図的に自らの作中に取り込み、活字化された語り物というべき口承文学………[もっと読む]

[文]島田雅彦(作家) [掲載]2016年05月08日

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