視線

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読書面に連載。画集、写真集などのビジュアル本をとりあげ、写真家の視点や被写体の造形的な美について解説します。

バックナンバー:2011年

絶景のポリフォニー [著]石川竜一

絶景のポリフォニー [著]石川竜一

 この写真集ではすべてが濃い。空の青に黄色の壁。軍鶏(しゃも)の鶏冠(とさか)の紅の深さ。そんな鮮やかな色の中でこそ、影=黒の濃さが際立つ。  出てくる人物や惹起(じゃっき)される物語も濃厚である。デモ行進を後ろにして道………[もっと読む]

[文]保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員) [掲載]2015年02月01日

渡部雄吉写真集 張り込み日記 [著]渡部雄吉 [構成と文]乙一

渡部雄吉写真集 張り込み日記 [著]渡部雄吉 [構成と文]乙一

 1958年撮影の写真を収めた一冊を繰りながら、ほぼ同時期に書かれた松本清張の『砂の器』を思わずにいられなかった。実際の殺人事件の捜査に密着した写真群の主役は、ベテラン刑事と若手のコンビで、ときに線路や列車も登場。殺人動………[もっと読む]

[文]大西若人(本社編集委員) [掲載]2015年01月18日

邸宅美術館の誘惑 [著]朽木ゆり子

邸宅美術館の誘惑 [著]朽木ゆり子

 邸宅美術館、というのをご存じだろうか。その名の通り、個人の邸宅がそのまま美術館になっている。その多くは、蒐集家(しゅうしゅうか)の邸宅や芸術家の家である。こつこつと集めてきた自慢のコレクションが飾られていたり、芸術家の………[もっと読む]

[文]原田マハ(作家) [掲載]2015年01月11日

夜光 [著]佐藤信太郎 

夜光 [著]佐藤信太郎 

 本書は東京と大阪の歓楽街の夜の光景を収めた写真集である。歓楽街は、秘密に満ちた闇を抱える場所だが、これらの写真に闇の雰囲気は、あまり感じられない。闇は夜空に吸い込まれて後景と化している。人影もない。ネオンや行灯(あんど………[もっと読む]

[文]北澤憲昭(美術評論家) [掲載]2014年12月21日

僕はベーコン [文]K・ハウザー [絵]C・クリストフォロウ

僕はベーコン [文]K・ハウザー [絵]C・クリストフォロウ

 本書で紹介されるフランシス・ベーコンとは、哲学者ではなくて20世紀を代表する画家の方だ。彼について日本語で読める本のほとんどは、高かったり専門的すぎたりしたので、どうしても玄人向けの画家となってしまっていたように思う。………[もっと読む]

[文]保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員) [掲載]2014年12月14日

奈良美智 NO WAR! [著]奈良美智

奈良美智 NO WAR! [著]奈良美智

 近代は、前のめり。とかく進歩や変化が求められる。表現者たちにも、「新作は?」「変化は?」といった期待が投げかけられる。進歩し変化することを意識しすぎて、自らを見失ってしまう人も、少なからずいたことだろう。  その点、奈………[もっと読む]

[文]大西若人(本社編集委員) [掲載]2014年12月07日

つげ義春 夢と旅の世界 [著]つげ義春ほか

つげ義春 夢と旅の世界 [著]つげ義春ほか

 つげ義春というマンガ家は、手塚治虫と同時代に活躍しながらも、手塚とはまったく逆の生き方をし、まったく違うあがめられ方をしたマンガ家である。手塚との共通点は、マンガ好きのあいだでは、ほとんど神格化されているところだろうか………[もっと読む]

[文]原田マハ(作家) [掲載]2014年11月23日

髪 [著]石川直樹

髪 [著]石川直樹

 石川直樹の撮った女性の髪には、不思議と匂いが感じられない。すべての写真がそうだというわけではないものの、匂いを感じさせないところに、この写真集のスタンスが見出(みいだ)されるように思う。つまり、これらの写真は、エロスと………[もっと読む]

[文]北澤憲昭(美術評論家) [掲載]2014年11月16日

ブルーノート・レコード―妥協なき表現の軌跡 [著]R・ヘイヴァーズ

ブルーノート・レコード―妥協なき表現の軌跡 [著]R・ヘイヴァーズ

 本書は、ジャズの代表的なレーベル、ブルーノートの75周年を記念して刊行された。そこに収められたジャケットの数々を見ていると、デザイナーがポール・ベイコンからジョン・ハーマンセイダーを経てリード・マイルズへと変わるととも………[もっと読む]

[文]保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員) [掲載]2014年11月09日

道 [著]荒木経惟

道 [著]荒木経惟

 代表作の登場という決定的瞬間に立ち会える愉悦。この写真集は、そんな至福の時の到来を予感させる。  写真を撮ったのは、天才アラーキーこと荒木経惟(のぶよし)(74)だ。生きている分だけシャッターを切り、右目の視力を失って………[もっと読む]

[文]大西若人(本社編集委員) [掲載]2014年11月02日

一日一菓 [著]木村宗慎

一日一菓 [著]木村宗慎

 京都の旧家に月に一度通い、和歌を習うようになって丸二年になる。古式ゆかしい日本家屋のお座敷で古典和歌を創作するのだが、短冊に筆でしたためる緊張の一瞬をほぐしてくれるのが、おもてなしの和菓子。「本日のお菓子は○○堂の『詠………[もっと読む]

[文]原田マハ(作家) [掲載]2014年10月19日

まなざしに触れる [著]鷹野隆大、新城郁夫

まなざしに触れる [著]鷹野隆大、新城郁夫

 本書に収められた鷹野隆大の写真は、同一性への異和によって貫かれている。  見開き頁(ページ)に対を成して配置された写真は、互いによく似ている。フレームを移行させて二度シャッターを切ったといったおもむきだ。連写のスナップ………[もっと読む]

[文]北澤憲昭(美術評論家) [掲載]2014年10月12日

畦地梅太郎 版画集 「山男」 [著]畦地梅太郎

畦地梅太郎 版画集 「山男」 [著]畦地梅太郎

 『山の眼玉(めだま)』など紀行文の名手としても知られている畦地(1902〜99)であるが、本書は、彼の版画作品だけをシンプルに紹介している。  収められているのは40年の《大野原遠望》から85年の《石鎚山》までの76点………[もっと読む]

[文]保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員) [掲載]2014年10月05日

兜虫——マイクロプレゼンス4 [著]小檜山賢二

兜虫——マイクロプレゼンス4 [著]小檜山賢二

 ズゥオーンといった効果音まで聞こえてきそうな迫力で、カブトムシが眼前に迫ってくる。たとえて言えば、松本零士が描く、漆黒の闇に浮かぶ宇宙船のように。  世界各地のカブトムシを超アップで撮影、見上げるようなアングルも少なく………[もっと読む]

[文]大西若人(本社編集委員) [掲載]2014年09月21日

庭師とあるく京の隠れ庭 [著]小埜〈おの〉雅章

庭師とあるく京の隠れ庭 [著]小埜〈おの〉雅章

 京都が好きだ。好きで好きで、なんとか出かけていく口実を作りたくて、京都が舞台の小説を書いた。その後、本格的にのめり込んで、京都で習い事を始めた。いまでは月に一度、通っている。グルメや展覧会や寺院巡りなどなど、京都では楽………[もっと読む]

[文]原田マハ(作家) [掲載]2014年09月14日

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

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