視線

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読書面に連載。画集、写真集などのビジュアル本をとりあげ、写真家の視点や被写体の造形的な美について解説します。

バックナンバー:2011年

岡村昭彦の写真——生きること死ぬことのすべて [編]金子隆一ほか

岡村昭彦の写真——生きること死ぬことのすべて [編]金子隆一ほか

 ベトナム戦争の報道写真で知られる岡村昭彦の写真集である。1985年に亡くなった写真家の約5万点のフィルムから、未発表のものを含めて182点が選ばれている。  岡村は、報道にカラー写真を用いた先駆者であり、ここに収められ………[もっと読む]

[文]北澤憲昭(美術評論家) [掲載]2014年09月07日

ジョージア・オキーフ [著]ランダル・グリフィン [訳]藤村奈緒美

ジョージア・オキーフ [著]ランダル・グリフィン [訳]藤村奈緒美

 なぜオキーフの絵画はシンプルなのに艶(なま)めかしいのか。本書を手にとり、その謎が解けた。答えは、初期作品の中にあった。  美術教師としてキャリアを積んでいた20代のある時、彼女は木炭の抽象画に取り組み始めた。曰(いわ………[もっと読む]

[文]保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員) [掲載]2014年08月24日

戦後日本住宅伝説 挑発する家・内省する家 [監修]五十嵐太郎

戦後日本住宅伝説 挑発する家・内省する家 [監修]五十嵐太郎

 埼玉県立近代美術館で今月末まで開催中の展覧会(広島市、長野県松本市、東京都八王子市に巡回)の図録でもあるのだが、会場を訪れた場合のように、大きな写真を体感したり、模型や映像を楽しんだりはできない。しかし、ものごとを時系………[もっと読む]

[文]大西若人(本社編集委員) [掲載]2014年08月17日

石井桃子のことば [著]中川李枝子、松居直ほか

石井桃子のことば [著]中川李枝子、松居直ほか

 本棚には、パーソナリティーが映し出されるという。  だから私は、誰かの家にお邪魔したとき、本棚をみつけると、ついどきどきしてしまう。その人の知られざる側面を垣間見るような気がして。本書を開いたときも、まさに、日本を代表………[もっと読む]

[文]原田マハ(作家) [掲載]2014年08月10日

日本のおもちゃ絵 絵師・川崎巨泉の玩具帖 [編]COCHAE

日本のおもちゃ絵 絵師・川崎巨泉の玩具帖 [編]COCHAE

 川崎巨泉は、歌川派の流れを汲(く)む画家で、郷土玩具の絵によって知られている。本書は、その玩具の絵を「おもちゃ絵」と称し、肉筆画を中心にコンパクトにまとめている。文庫サイズなので、どこでも気の向いたときに頁(ページ)を………[もっと読む]

[文]北澤憲昭(美術評論家) [掲載]2014年08月03日

世界に響くハードシェーク―バーテンダー上田和男の50年 [著]達磨信

世界に響くハードシェーク―バーテンダー上田和男の50年 [著]達磨信

 今年で70歳となる上田和男を代表するオリジナルカクテルのひとつが、「M—30レイン」だ。坂本龍一の曲に着想を得つつ利休鼠(りきゅうねずみ)という難しい色を目指したとのことで、確かに淡いブルーのうちには灰色や緑も見える気………[もっと読む]

[文]保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員) [掲載]2014年07月20日

After the Thaw―雪解けのあとに [著]米田知子

After the Thaw―雪解けのあとに [著]米田知子

 写真を見るときはまず、写真だけを見たいと思う。被写体の背景や撮影者の考えはひとまず差し置いて——。  この写真集は、書名や「ハンガリー 2004年」を意味する章名の後は、淡々と写真が続く。淡い色調で、多くは遠めから、一………[もっと読む]

[文]大西若人(本社編集委員) [掲載]2014年07月13日

英国ポタリーへようこそ——カントリー・スタイルの器と暮らし [著]井坂浩一郎

英国ポタリーへようこそ——カントリー・スタイルの器と暮らし [著]井坂浩一郎

 旅好き、陶芸好きである。ゆえに旅の目的地として「作家の窯元(かまもと)」を定めることがよくある。実際に作家を訪ねて、作品を本人から直接買う。これがことのほか楽しい。  作り手その人による説明を聞き、ときにはお茶に呼ばれ………[もっと読む]

[文]原田マハ(作家) [掲載]2014年07月06日

時軸 [著]山口保

時軸 [著]山口保

 本州と四国の各地の岩盤を撮影したモノクロ写真集である。岩石の奇態な表層が眼(め)を捉える。人影のない岩盤には死のイメージが揺曳(ようえい)している。  水と大気と日光の作用が、そして大地の揺動や隆起が、岩盤の表層に年月………[もっと読む]

[文]北澤憲昭(美術評論家) [掲載]2014年06月22日

抗体 ANTICORPS [著]アントワーヌ・ダガタ [訳]青山勝・田島義士

抗体 ANTICORPS [著]アントワーヌ・ダガタ [訳]青山勝・田島義士

 560ページ、厚さ5センチのこの写真集を読み通すには体力がいる。重いからではない。その中に生身の人間が詰まっているからだ。  娼婦(しょうふ)や囚人がいる。道端で寝る人や肩をすぼめて歩く人がいる。その誰もが、自分が肉体………[もっと読む]

[文]保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員) [掲載]2014年06月15日

SIMONDOLL [著]四谷シモン

SIMONDOLL [著]四谷シモン

 人形たちと、なかなか目が合わない。横目や、上目づかい。最も多いのが、遠くに視線を投げ続ける姿だ。  この作品集は、横浜・そごう美術館で開催中の人形作家・四谷シモンの個展(7月6日まで。兵庫県西宮市に巡回)を記念して刊行………[もっと読む]

[文]大西若人(本社編集委員) [掲載]2014年06月08日

増山たづ子 すべて写真になる日まで [編]小原真史・野部博子

増山たづ子 すべて写真になる日まで [編]小原真史・野部博子

 カメラばあちゃん。それが、2006年に88歳で他界したとき、10万カットのネガと600冊のアルバムを遺(のこ)した写真家・増山たづ子の愛称だった。  山々の緑深く川面が澄み渡るふるさと・岐阜県徳山村に生まれ育った増山は………[もっと読む]

[文]原田マハ(作家) [掲載]2014年06月01日

藤田嗣治画集全3巻 [監修]林洋子

藤田嗣治画集全3巻 [監修]林洋子

 藤田嗣治研究の第一人者である林洋子が最新成果を盛り込んで監修にあたった画集である。「巴里」「異郷」「追憶」とテーマ別の3冊仕立てになっているが、画家の人生に沿った編集を基軸としている。写真や絵手紙、手作りの額縁や小箱も………[もっと読む]

[文]北澤憲昭(美術評論家) [掲載]2014年05月18日

東欧のかわいい陶器 [編]誠文堂新光社

東欧のかわいい陶器 [編]誠文堂新光社

 ポーランド、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリー、それとチェコの伝統的な陶器を紹介する本。「東欧」の定義は難しいはずで、なぜこの五カ国なのかとも思ったが、そんな疑問も、かわいさを前にしては綺麗(きれい)になくなった。  ………[もっと読む]

[文]保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員) [掲載]2014年05月11日

大阪万博 20世紀が夢見た21世紀 [編著]平野暁臣

大阪万博 20世紀が夢見た21世紀 [編著]平野暁臣

 2020年といえば、「2度目の東京五輪」というのが大方の反応だろう。でも、「いやいや、大阪万博から50年でしょ」と答える元・万博少年たちもいるはずだ。  そんな少年を生む力があの万博のどこにあったのか、その一端を本書は………[もっと読む]

[文]大西若人(本社編集委員) [掲載]2014年05月04日

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