文理悠々

文理悠々

文理悠々

「小説が好きだから科学記者になった」。そんな朝日新聞OB、尾関章による書評コラム。文系、理系の壁を越えて本の世界の魅力を伝えます。

多読の達人、本読みの極意

多読の達人、本読みの極意

 ウェブで毎週、本を語る。そんな試みを僕が2年前に始めたのも、この人の偉業があったからだ。「千夜千冊」の看板を掲げてウェブ書評を続ける編集者にして、著述家の松岡正剛さん。2000年2月、週末を除いて1日に1冊ずつ本の話を………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年10月01日

なので、ばななでハローアゲイン

なので、ばななでハローアゲイン

 父リュウメイでグッバイしたあとは、娘ばななでハローアゲインといこう。アスパラクラブ「本読みナビ」に区切りをつけて、当コラムとしての最初の回は、よしもとばなな流に人と人のつながりを考えさせてくれる本から始める。  1冊は………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年09月24日

吉本隆明でグッバイ、ハロー

吉本隆明でグッバイ、ハロー

 本読みナビはいよいよ最終回、次回からは新居のブック・アサヒ・コムに移って悠々自適のコラムを続ける。その区切りをどうつけようか、と迷った。そう言えば、と思い出したのが、吉本隆明さんだ。訃報を聞いたとき、吉本本をと思った。………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年09月14日

蟹工船の鉄フェティシズム

蟹工船の鉄フェティシズム

 「蟹工船 はまる若者/文庫大増刷 過酷な労働に共感」という記事が朝日新聞の夕刊に載ったのは2008年5月13日だった(見出しは東京本社発行最終版)。一億総中流はもはや遠い幻影であり、失業と貧困の時代がひたひたと押し寄せ………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年09月07日

夜と霧、大人になってからの読み方

夜と霧、大人になってからの読み方

 夜のテレビで1冊の本のことが語られていた。若いころに出会った書物を今読み返すと、胸に響く一文があった。震災被災地で妻を亡くした医師のそんな述懐だった。途中からだったので、文脈は読みとれなかった。だが、話の断片が僕の心を………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年08月31日

八日目の蟬で80年代を思う

八日目の蟬で80年代を思う

 夏の終わりのセミは切ない。あともう少しで聞こえなくなる。そう思うと耳の奥に残しておきたくなる。真夏にはあの大合唱を騒々しいと感じていたというのに、身勝手なものだ。誰もいない浜辺の海の家のよしず張りのような趣だ。  そう………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年08月24日

緑陰気分で人間ケインズを思う

緑陰気分で人間ケインズを思う

 ずっと昔、NHKテレビの夏の番組に「緑陰講座」があった。僕の記憶では、経済学者の伊東光晴さんが軽井沢かどこかの避暑地に赴いて、涼しげな木陰で女性アナウンサーを相手に経済学のキホンのキを語る、というような趣向だった。  ………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年08月17日

怪談の夏、小泉八雲の宇宙

怪談の夏、小泉八雲の宇宙

 幽霊が出てきてもいい。涼気を求めてそう思う。むかし林間学校で日没後、戸外に出て先生の怖い話を聴いたことを思い出す。あのころは、本当に背筋が凍った。だが、今はそれほどでもない。あちらの世界が近くなったということだろうか。………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年08月10日

村上春樹の訳で読む「核の時代」

村上春樹の訳で読む「核の時代」

 雨に濡れてはダメ、傘を必ずさしなさい。もし濡れたなら、髪をよく洗うこと。小学生のころ、そんな注意を受けた。だからだろうか、雨にうたれて歩くのは結構心地よいものなのだが、なんとなく叱られそうでいつも傘を開いてしまう。  ………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年08月03日

「砂の女」とヒッグス粒子の関係

「砂の女」とヒッグス粒子の関係

 砂というと、ぎらぎらした真夏の太陽が思い浮かぶ。砂浜はラブレターの便箋にもなるし、モンローウォークで歩く舞台にもなる。だが、砂を甘く見てはいけない。いったん足をとられると、怖いことになる。「急に、走りづらくなった。やた………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年07月27日

「ヒコーキ」はだれが考えたか

「ヒコーキ」はだれが考えたか

 夏休みに模型飛行機、というのはいい取り合わせだ。竹ひごの機体。布張りの翼。ゴム輪をグルグルと巻いて動力を得る。原っぱで、日が暮れるまで何度も何度も飛ばしてみる。そんな夏の夕暮れの光景を記憶にとどめている人は多いだろう。………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年07月20日

英国のあの「緩さ」がたまらない

英国のあの「緩さ」がたまらない

 ウィンブルドンが終わり、まもなく五輪。英国好きには、たまらない夏だ。僕もその一人だが、理由はなんだろう。今の日本社会に欠けているものを備えていることが大きいのではないか。一言で言えば、心地よい「緩さ」である。悪口のよう………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年07月13日

「天地明察」にみる江戸の理系事情

「天地明察」にみる江戸の理系事情

 七夕の「織姫」「彦星」は、まぎれもない大和言葉だ。だから、僕たちの祖先も星空に思いを寄せてきた。だが、日本古来の文化は花鳥風月の月ほどに星を愛でてはいない。この春に芭蕉の「おくのほそ道」をとりあげたとき、「荒海や佐渡に………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年07月06日

梅雨時に読む泉鏡花のドライ

梅雨時に読む泉鏡花のドライ

 折りたたみ傘を手にもって入った本屋で、泉鏡花の背表紙に目がとまった。雨模様になじむ作家、というイメージがこの作家にはある。たぶん鏡花原作の芝居が新派の舞台にかかることが多く、ならばウェットだと思ってしまうからだろう。 ………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年06月29日

セゾンという名の西海岸

セゾンという名の西海岸

 セゾンという名の文化が花開いた時代があった。反抗する若者が街にあふれた時代を行き過ぎてまもなく、1970年代後半から80年代にかけてのころだ。バブルの夢を膨らませる世情を尻目に、カネに飽かすだけではない消費文化の発信源………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年06月22日

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

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