文理悠々

文理悠々

文理悠々

「小説が好きだから科学記者になった」。そんな朝日新聞OB、尾関章による書評コラム。文系、理系の壁を越えて本の世界の魅力を伝えます。

赤頭巾ちゃん、お久しぶり

赤頭巾ちゃん、お久しぶり

 赤ずきんちゃんと言えば、童話の主人公だが、ある世代にとっては、それは自らの青春を軽やかに独白する薫(カオル)君が思い浮かぶ。団塊のしっぽともいえる1951年生まれの僕は、その世代のど真ん中にいると言えるだろう。  69………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年06月15日

「塔」とバルトとモーパッサン

「塔」とバルトとモーパッサン

 日食の翌日とは、絶妙の日取りではないか。東京スカイツリーが5月22日、東京都墨田区で開業した。あいにく、その朝は雨模様だったが、前日に空を見上げる楽しみを知った人々が、いろんな場所、いろんな角度から家々やビル群の上空に………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年06月08日

1本のバラと星の王子さま

1本のバラと星の王子さま

 バラの季節、今年はことのほか、その華麗さが目にしみる。この花ときってもきれない英国の王室では、エリザベス女王の在位が60年となった。そして隣のフランスでは、やはりこの花と縁浅からぬ社会党の大統領が登場した。  英王室は………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年06月01日

北野流「したたか」論は牛丼も語る

北野流「したたか」論は牛丼も語る

 北野宏明さんと言えば、ソニーのペット犬ロボット「アイボ」の開発にかかわった人として紹介されることが多い。肩書もソニーコンピュータサイエンス研究所社長兼所長。だが実は、旧来の企業研究者像に収まりきらない、もっとずっと広い………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年05月25日

金環食、清張、そして新聞記者

金環食、清張、そして新聞記者

 指輪のような、といわれる金環食。太陽という最もなじみ深い天体が、いつもとは違うおしゃれな顔を見せる瞬間だ。こんどは、日本列島南岸の広い範囲が観測可能域の帯に重なるので、然るべく目を守りつつ天を仰ぐ人も多いことだろう。 ………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年05月18日

新緑に芭蕉あり、「奥の細道」考

新緑に芭蕉あり、「奥の細道」考

 晴れていようが、雨に打たれようが、この季節は散歩に出たくなる。それは、目に飛び込む木々の緑のみずみずしさのせいかもしれない。ケヤキやムクノキ、コナラ、クヌギのような落葉広葉樹はとくにそうだ。透明感のある葉の重なりが日々………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年05月11日

何事もそこそこで、という進化論

何事もそこそこで、という進化論

 モンシロチョウの恋話ではじまる本を見つけた。『なぜ男は女より多く産まれるのか――絶滅回避の進化論』(吉村仁著、ちくまプリマー新書)。今回は、このブログには珍しく、4月に出たばかりの新刊を紹介しよう。  キャベツ畑で舞う………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年05月04日

五輪のロンドン、懐かしきホームズ

五輪のロンドン、懐かしきホームズ

 シャーロキアンは学校のクラスに1人はいたように思う。同じ英国発のミステリー好きでもアガサ・クリスティーのファンとはちょっと違って、理系っぽくて「オタク」の度合いが強いという印象があるが、それは偏見だろうか。  僕自身は………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年05月04日

脳卒中で脳が生まれ変わるという話

脳卒中で脳が生まれ変わるという話

 健康サイトに迷い込んだのか。表題をみて、そう思った人も多いだろう。どちらかと言えば、日常の役に立たない話ばかりを書いている「本読みナビ」だが、今週は、脳卒中後のリハビリ期にある人々には実用書としても読める本を紹介しよう………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年04月20日

脱原発の世に唐木科学者批判を読む

脱原発の世に唐木科学者批判を読む

 峻烈な科学者批判の言葉を残して1980年に世を去った評論家唐木順三。その未完の遺稿が最近、文庫本になった。『「科学者の社会的責任」についての覚え書』(唐木順三著、ちくま学芸文庫)。哲学を学び、文学を論じた文系知識人が最………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年04月13日

出発の春--されど「かれら」が日々

出発の春--されど「かれら」が日々

 学生街を歩くと、昔のように新入生勧誘のビラ配りは健在だ。青春がひとつ、ふたつと芽生える季節。その微風に誘われて今週、選んだのは『されど われらが日々――』(柴田翔著、文春文庫)。言うまでもないが、これは1960年代後半………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年04月06日

メリルのマギー、森嶋のサッチャー

メリルのマギー、森嶋のサッチャー

 メリル・ストリープの世界は、とどまるところを知らない。あるときは、NYのシングルマザー編集者(「めぐりあう時間たち」)、あるときは、場末の舞台で歌うカントリー・ウェスタン歌手(「今宵、フィッツジェラルド劇場で」)、また………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年03月30日

マリリンの孤独、米英の微妙な関係

マリリンの孤独、米英の微妙な関係

 マリリン・モンローと言えば、偶像の中の偶像だ。伝えられる個人史のどこまでが本当で、どこに誇張や脚色があるのか。その不確かさは、彼女のように伝説となった人物には避けがたいものなのかもしれない。  今週の1冊は、話題の映画………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年03月23日

英国人が見た、もう一つの戦前日本

英国人が見た、もう一つの戦前日本

 英国の女性は、厳しくて優しい。これは、かつて欧州生活で実感したことだ。たとえば、空の客室乗務員。英国の飛行機に乗ると、いくぶん年配のスチュワーデスが、学校の先生のように機内を仕切る様子が心地よかった。困っている人には手………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年03月16日

震災1年、脱柳田の東北学を読む

震災1年、脱柳田の東北学を読む

 あの日から1年、真っ先に思い出すのは、僕たちを打ちのめした空撮映像だ。昼下がり、気だるい気分で社内の会議に臨んでいたとき、僕も長く、大きく、揺さぶられた。机に戻ると、本や資料がなだれのように崩れ落ちていた。大変なことが………[もっと読む]

[文]尾関章 [掲載]2012年03月09日

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

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