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芸と人―戦後歌舞伎の名優たち [著]織田紘二

[評者]

[掲載]2011年06月12日

[ジャンル]人文 アート・ファッション・芸能

表紙画像


 東京・国立劇場で43年間、舞台の制作や演出に携わった著者が、現場で接した歌舞伎俳優の芸と人となりをつづる。六代目歌右衛門、初代白鸚、十四代目勘弥、二代目松緑ら昭和の名優23人を取り上げている。
 役者は全役のせりふと型を覚えていなければならないとされるが、「熊谷陣屋」の稽古で監修をしていた女形の歌右衛門は熊谷直実まで本当にやってみせた。三島由紀夫作の「椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)」初演の際、大詰めで白馬にまたがって宙乗りする演出に三島はこだわったが、主演の白鸚が高所恐怖症のため実現できなかった。勘弥は、まだ声変わり最中の少年だった玉三郎を容赦なく指導し、著者は驚く。芸と役者への敬愛にあふれた1冊だ。(演劇出版社・1995円)

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