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植田和男 書評委員お薦め「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2010年12月19日

表紙画像

 (1)デフレの正体——経済は「人口の波」で動く(藻谷浩介著、角川oneテーマ21・760円)
 (2)アメリカ連邦準備制度の内幕(ステファン・H・アキシルロッド著、田村勝省訳、一灯舎・2100円)
 (3)リーマン・ショック・コンフィデンシャル 上・下(アンドリュー・ロス・ソーキン著、加賀山卓朗訳、早川書房・各2100円)

 (1)いよいよ現実のものとなった日本の人口減少が、いかに内需不振の主因であるかを、簡潔なグラフ中心にわかりやすく示した好著。薄々感じていた不安に直接手で触れたような読後感。対策として高齢者から若者への所得移転、女性就労、外国人観光客の増加を推奨。
 (2)米国連邦準備制度議長側近が、戦後の各議長の個性、直面した金融経済情勢、内部での政治的駆け引き等を紹介。量的緩和はシカゴ大出身者向けには、よく効くと、ハーバード大出身者にはゼロ金利周辺では効かないと説け、との判断を何十年も前にしていたという辺りは光る指摘である。
 (3)今回の金融危機の当事者たちに対する詳細なインタビューに基づいた危機の記録だが、読み物としても面白い。経営者の企業統治能力の大切さに改めて思いをはせさせる。危機の背景、政策判断の根拠等を知る上での必読書。
 (東京大学教授)

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