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横尾忠則 書評委員お薦め「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2010年12月19日

表紙画像

 (1)失われた天才——忘れ去られた孤高の音楽家の生涯(ケヴィン・バザーナ著、鈴木圭介訳、春秋社・5040円)
 (2)とらわれない言葉(アンディ・ウォーホル美術財団編、夏目大訳、青志社・1365円)
 (3)完本 ジャコメッティ手帖 1(矢内原伊作著、みすず書房・7875円)

 本を読むのが非常に遅いのでそんなに多くの本が読めない。また文筆業ではないので普段本を読む時間よりは絵の制作の方に大半の時間が奪われているという理由などで買う本の割には読む本の数はそんなに多くない。
 今年読んだ本のすべてが実は書評のために読んだ本だけだった。
 その総数は23冊(未掲載2点を含む)。大半が芸術関係の本で、芸術を対象にした作品論か伝記が多かったが、ほぼその全員がいわゆる天才と呼ばれる有名芸術家である。
 順不動で挙げると、まず『失われた天才』は、忘れられた孤高の音楽家の伝記。次は『とらわれない言葉』。これはアンディ・ウォーホル語録を集めた本で一言一言がウソ、ホントを繰り返す。最後は『完本 ジャコメッティ手帖 1』。著者矢内原伊作がジャコメッティを前に自分の虚実を露出していくその過程は実にスリリング。
 (美術家)

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