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紀元二千六百年―消費と観光のナショナリズム [著]ケネス・ルオフ

[評者]

[掲載]2011年02月20日

[ジャンル]歴史

表紙画像

 「紀元二千六百年」とは、神武天皇による建国からちょうど2600年とされた1940(昭和15)年のことだ。大日本帝国では、万世一系をたたえる記念行事が多く催された。著者は「人々は国史をまとめた物語に夢中になり、定時の大衆儀礼に参加し、愛国的な歌詞や作文をものし、愛国的な展覧会を見に行き、史跡を訪れていた」と書き、観光ブームにわいた事実を明らかにしていく。「印刷メディアや百貨店、鉄道会社といった非政府機関の働きかけも大きかった」という。暗い時代だったと思われがちなこの年に、観光の側面から新たな光をあてた貴重な論考だ。(木村剛久訳、朝日選書・1575円)

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