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朽ちるインフラ―忍び寄るもうひとつの危機 [著]根本祐二

[評者]山形浩生(評論家)

[掲載]2011年07月03日

[ジャンル]社会

表紙画像

■避けがたい近未来、直言で指摘

 上下水道、学校、道路——現代日本のインフラの多くは半世紀前の高度成長時代に作られた。その補修や交換で今後数百兆円規模の莫大(ばくだい)な費用が必要になるが、人口減少と高齢化、財政悪化に伴い、もはや全面維持は不可能だ。それを今後住民に納得させ、維持管理と資金捻出の新手法も含めた計画立案を、いまから進めなくてはならない。
 本書はこの面倒だが避けがたい事実を、ストレートに指摘した本だ。
 理念やお題目より数字と具体的な提案に物を言わせる本だが、読み易(やす)く事例も豊富で説得力は高い。そして本書の根底にある、今後の日本が直面する大問題は市街地の秩序ある縮小なのだという認識は、都市計画や建築リノベーションの分野も共同で取り組むべき重要な課題だ。
 震災復興はそれを試すまたとない機会だが、その具体的な提案も本書には挙げられている。実務家はもとより、日本都市の未来に関心のある万人にお薦め。
 評・山形浩生(評論家)
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 日本経済新聞出版社・2100円



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