書評・最新書評

税と社会保障の抜本改革 [著]西沢和彦 

[評者]植田和男(東京大学教授)

[掲載]2011年07月17日

[ジャンル]政治 医学・福祉 社会

表紙画像

■負担と受益「関係明確に」

 政治の混迷で税と社会保障の一体改革は議論こそあれ一向に前に進まない。しかし、そんな時に将来を見据えて有益な勉強ができる書物である。
 日本の財政が危機的な状況にあるといわれて久しいが、その実態のかなりの部分は税や赤字国債で調達された資金が、さまざまな形で社会保障費の増大に回されていることによる。本来社会保険料で賄われるべき年金や医療制度に、こうした現在ないし将来の税負担が紛れ込むことによって、社会保障制度の負担と受益の関係が希薄化し、サービスに対する過大な需要が発生したり、負担増のための増税や社会保険料値上げも実現しにくくなっている。一体改革のためにはこうした構造が明確にされ、その上でどのような給付水準、負担形態が望ましいかの議論がなされねばならない。
 以上の著者の基本的な主張を踏まえると、本書全般で展開されている各制度についての具体論も理解しやすい。
 植田和男(東京大学教授)
     *
 日本経済新聞出版社・2100円



関連記事

ページトップへ戻る