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解体新書「捕鯨論争」 [編著]石井敦

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)

[掲載]2011年07月17日

[ジャンル]歴史 人文 国際

表紙画像

■推進・反対の構図を超えて 

「鯨肉は日本の食文化」と言われる。しかし、実際に鯨肉を食べる機会はほとんどない。「日本の文化」と言う割に、日本人は伝統的にも日常的にも鯨肉を食べていない。なのに、なぜ繰り返し「日本の食文化」というフレーズが使われるのか。
 本書は捕鯨問題の論点と国際的な歴史を詳述し、外国からの批判を「日本文化に対する攻撃」と捉えてきた「反・反捕鯨」のあり方を問う。
 日本政府は調査捕鯨にこだわるが、これは「概して鯨の管理とは無関係」で、「科学研究の質も低」い。むしろ科学目的ならば、皮膚サンプルの回収や写真識別などによる「非致死的調査法」の方が効率的だ。にもかかわらず調査捕鯨が行われてきたのは、合法的に鯨肉を供給し、その売り上げによって調査費用を補填(ほてん)する意図があると指摘する。
 「推進派」対「反対派」という構図を超えるにはどうすればいいのか。本書は事実を踏まえた冷静な捕鯨論争を促す重要な一冊である。
  ◇
新評論・3150円

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