書評・最新書評

人にいえない仕事はなぜ儲かるのか? 門倉貴史著 地下経済の実態紹介

[評者]加藤出

[掲載]2005年11月27日

[ジャンル]経済 新書

表紙画像

 地下経済の実態紹介、税制との関係も指摘

 政府・財務当局が捕捉できない経済活動を地下経済と呼ぶ。著者はその分析で知られるエコノミストである。本書ではオモテ社会における節税対策も紹介されているのだが、とりわけ「オモテ社会とウラ社会の境目」や「地下ビジネス」に関しては著者の本領が発揮されている。
 地下経済と税制の間には密接な関係がある。著者は「財政再建にあせる政府がやみくもに国民の税負担を重くしていけば、こうした『地下ビジネス』が拡大していく恐れがある」と強く警告している。
 評者も、少し前にマネーロンダリングの関連で海外の地下経済の文献を調べたことがある。リンツ・ヨハネス・ケプラー大学のフリードリッヒ・シュナイダー教授によれば、公式なGDP(国内総生産)に対して地下経済の規模が3割を超す国は100カ国近く存在する。多くの国で、税率を引き上げると地下経済が拡大する傾向が見られるのである。
 そこで著者は、技術的な問題は大きいものの、「支出税」の検討を提唱している。税率引き上げよりも課税ベースの拡大が重要だという。
 大笑いしてしまったのは次の部分。「筆者のヒアリング調査によれば、そもそも、ソープランドで働く女性のほとんどが確定申告という言葉すら知らなかった。これでは、世のサラリーマンが癇癪(かんしゃく)をおこすのも無理はない」(角川oneテーマ21・720円)
 [評者]加藤出(エコノミスト)

関連記事

ページトップへ戻る