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随筆 上方落語の四天王―松鶴・米朝・文枝・春団治 [著]戸田学

[評者]芸能

[掲載]2011年10月30日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

 戦後、消滅寸前だった上方落語の世界に入り、現在の隆盛を築いた<四天王>。色合いと芸風の異なる4人を聴き続けてきた著者は、具体的な演目を例に、声や口調、間やしぐさまで克明に記すことで、芸の実像を等身大に伝えたいと本書を書いた。
 豪放磊落(らいらく)といわれるが、繊細で稚気にあふれた六代目笑福亭松鶴。品格と風格を備えつつ、「皮肉な笑い」を楽しむ一面もある桂米朝。定評ある女性の描写に加え、軽い滑稽噺(ばなし)が生き生きとしていた五代目桂文枝。舞の名手で、舞踊と落語が融合した高座が美しい三代目桂春団治。上方を愛し、東京にいる時よりくつろいでいた、大阪での古今亭志ん朝を描いた終章も印象的だ。
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 岩波書店・2520円

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