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ちづる―娘と私の「幸せ」な人生 [著]赤崎久美

[評者]

[掲載]2011年11月27日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

 公開中のドキュメンタリー映画「ちづる」は、兄の赤崎正和が自閉症の妹のあるがままを映し出したが、本書では母が幼少期から今に至る子育ての悪戦苦闘を語っていく。避難訓練を恐れる千鶴。起きられない千鶴。駅の自動改札にパニックを起こす千鶴……。学校生活も地域の暮らしにも、自閉症者の苦手とする高度な社会性の体得と、当意即妙のコミュニケーション能力が期待されている。現実が突きつけてくる細かな要求は増え続け、健常者だってあっぷあっぷ。「空気、読みましょう」「相手を思いやりましょう」の圧力が憎くなる。けれど、そんな母子の日常が不幸せかといえば、そうでもない。「幸福」の不思議もまた体感できる本だ。
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 新評論・1890円



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