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植田和男 書評委員お薦め「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2011年12月25日

表紙画像

(1)フォールト・ラインズ(ラグラム・ラジャン著、伏見威蕃・月沢李歌子訳、新潮社・1995円)
(2)国家は破綻する 金融危機の800年(C・M・ラインハート、K・S・ロゴフ著、村井章子訳、日経BP社・4200円)
(3)ザ・ラストバンカー(西川善文著、講談社・1680円)
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 今年は金融関係書3冊。2007年からの金融危機に関する出版が依然として多い。外国語の書物ばかりに良いものが目立つのがやや残念だが、その中で(1)は金融危機の技術的側面だけでなく、政治・社会的な面まで掘り下げた好著。訳にやや難があるのが残念。(2)は何世紀もの金融危機に関する歴史的な経験則を詳細なデータで浮かび上がらせた。金融危機が財政危機に波及するという傾向も指摘し、今回のヨーロッパ危機の予言にもなったと話題の書物。(3)は、元メガバンクトップの回顧録だが、日本の銀行経営、金融行政、政治と金融のかかわり等について興味深い指摘が多い。また、著者の主張への賛否はともかく、1980年代以降日本の金融が直面した問題についての資料集としても貴重な一冊。
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 植田和男(東京大学教授)

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