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横尾忠則 書評委員お薦め「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2011年12月25日

表紙画像

(1)ジョゼフ・コーネル 箱の中のユートピア(デボラ・ソロモン著、林寿美ほか訳、白水社・3990円)
(2)バルテュス、自身を語る(バルテュス著、聞き手アラン・ヴィルコンドレ、鳥取絹子訳、河出書房新社・3990円)
(3)海にはワニがいる(ファビオ・ジェーダ著、飯田亮介訳、早川書房・1470円)
    ◇
 昨年もそうだったが今年も書評対象以外に読んだのは友人、知人から贈られた本を3、4冊読んだだけで「今年の3点」はやはり書評した本の中から選ぶしかなかった。
 僕が評した大半は美術関係書であり、その中でもやはり美術家の伝記が興味深かった。創作がそのまま作家の生き方に直結しているので、自らの創造と人生を重ねながら読んだ。
 そんな中でも(1)のジョゼフ・コーネルの伝記と、これはバルテュスの自伝だが(2)の2冊から学ぶことが多かった。創造の苦悩と快楽が表裏一体なのはどの作家にも共通しており、芸術の普遍性はいつの時代も変わらない。
 (3)の『海にはワニがいる』は芸術書ではないが、密入国の旅を8年間続けた少年の冒険物語。この少年の勇気と、彼を支えた運命の力には感動するものがあった。
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 横尾忠則(美術家)

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