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辻篤子 書評委員お薦め「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2011年12月25日

表紙画像

(1)不死細胞ヒーラ(レベッカ・スクルート著、中里京子訳、講談社・2940円)
(2)フェイスブック(デビッド・カークパトリック著、滑川海彦ほか訳、日経BP社・1890円)
(3)矢内原忠雄(鴨下重彦ほか編、東京大学出版会・2730円)
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 科学や技術が問われた1年だった。その進展はいや応なく私たちの社会を、暮らしを、変えずにおかない。
 (1)は、生命科学と医学の飛躍的発展を支えてきたある特別な細胞を、それと知らずに提供した米国の黒人女性を追ったノンフィクションだ。現実社会と決して無関係であり得ない科学のありようを考えるうえでも格好の読み物となっている。
 (2)は、またたくまに大きな影響力を持つに至ったネット世界の革命児を描く。その成長の背景には若い才能を生かす米国社会があり、これからも続く者が出るであろうことを予感させる。
 人の知恵が問われている年末にひもときたいのが(3)だ。東京大学の初代教養学部長、総長として「日本人の知と心の再建を担った」。没後50年、その軌跡をたどる意味は大きい。
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 辻篤子(本社論説委員)

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