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上丸洋一 書評委員お薦め「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2011年12月25日

表紙画像

(1)原発崩壊(樋口健二著、合同出版・2940円)
(2)原子力をめぐる科学者の社会的責任(坂田昌一著、樫本喜一編、岩波書店・2730円)
(3)災害論(加藤尚武著、世界思想社・1890円)
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 原発関連書から選んだ。
 (1)は、原発内部で働く下請け労働者を40年近く取材してきた報道写真家の作品集。科学技術の粋を集めたという原発の奥深くに、どんな人間の営みがあるか。白日の下にさらけ出した功績は大きい。
 (2)は、日本が原子力の「平和利用」に向けて浮足立っていた時期に、原子力への過大な期待を戒めた物理学者の論集。エネルギー問題の解決をただちに原発に求めるのは「原子力に対する神秘的な信仰にもとづく非科学的なもの」だと主張する。
 原発の是非をめぐる論争の根底に、安全性についての理解が共有されていないという事実がある。(3)は、今後の議論の出発点におきたい一冊。自動車事故で何人死んでも自動車をなくせと言わない、なぜ原発ばかり……といったマヤカシの論理から抜け出す時だ。
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 上丸洋一(本社編集委員)

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