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楊逸 書評委員お薦め「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2011年12月25日

表紙画像

(1)疾走中国 変わりゆく都市と農村(ピーター・ヘスラー著、栗原泉訳、白水社・2730円)
(2)上海近代のホワイトカラー 揺れる新中間層の形成(岩間一弘著、研文出版・7350円)
(3)ふたつの故宮博物院(野嶋剛著、新潮選書・1260円)
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 辛亥革命が百周年を迎えた今年、中国関係の書物は一際(ひときわ)目立っていた。近代化への道を歩んできたこの百年、中国に何が起き、どんな変化をもたらしたかについて、中国人に限らず、関心を持つ方が多くいるようだ。それをキーワードに選んだ3点である。
 (1)はフリージャーナリストのアメリカ人が、社会の最底辺にもがく中国人と生活を共にし、中国の「骨身にしみた」現実を活写した一冊。経済発展の影に潜む様々な問題を切実に訴えている。
 (2)は戦前の上海に見られた新中間層の形成を通して中国近代化を検証する。中産階級の割合が社会安定を左右すると言われつつ、貧富の格差が開く一方。この現象はもはや中国に留(とど)まっていない。(3)は文物から中国政治の「特異」体質を辿(たど)る。文化的な価値の高い文物が持つ別の意義を鋭く分析している。
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 楊逸(作家)

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