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アートの起源 [著]杉本博司

[評者]

[掲載]2012年03月25日

[ジャンル]アート・ファッション・芸能

表紙画像

 ニューヨークに暮らす現代美術作家である著者の名を冠し、香川県丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で2010年11月から翌年の同月までほぼ1年開催された展覧会の本。収録写真は展示品であり、言葉はそれらを語るが、「図録でもなく、評論集でもない、詩集でもなく、独白でもない、なにか」だという。「光学硝子(ガラス)五輪塔」の章では、釈尊の骨をまつる五重塔=舎利塔は宇宙をも表現し、信仰心を純粋に表そうとする「宗教的野心が萌(も)えいでた」形と解き明かす。杉本の作った塔は宇宙を構成する五大のうち、水を示す球体が核をなす。球には30年以上撮り続けている海景が封じられている。帰依する対象を失った「私」の意識の源。
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 新潮社・2730円

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