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昭和の東京 記憶のかげから [著]矢野誠一

[評者]

[掲載]2012年04月15日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 国民学校5年で敗戦を迎えた著者が、翌年の4月29日、同級生に誘われて後楽園球場でプロ野球を観戦し、ユニホームがあか抜けたセネタースに魅せられる。後年、演劇・演芸の舞台関係の仕事に進んだ著者は思わぬところでその選手の一人を父に持つ俳優と知り合いに。当時の選手たちのプレーやエピソードをちりばめ、記憶の風景を鮮やかに描き出す「大下弘とセネタースの青春」ほか、中学生のころから見てきた芝居、講談、そして酒と人の話。「せめて八波(むと志)がいればなあ」とぼやく三木のり平、来日したテネシー・ウィリアムズがビル屋上の看板を見てつぶやく「オウ、マックス・ファクター」など、記憶の中にしかない。
    ◇
日本経済新聞出版社・2100円

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