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十二単衣を着た悪魔―源氏物語異聞 [著]内館牧子

[評者]

[掲載]2012年06月10日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 タイトルは映画「プラダを着た悪魔」から引用し、舞台は源氏物語。とくれば、スポットが当たるのは光源氏の宿命の敵役・弘徽殿(こきでん)女御だ。男子フリーターが突然、千年前の源氏物語の世界にタイムスリップ。たまたま持っていた常備薬の見本と「あらすじ」のおかげで、未来を予見する陰陽師として女御に仕えることに。実際に接した女御は、「『恐い女』と言われるのは嫌いじゃない」という強くて筋の通ったキャリアウーマン。弘徽殿コードで読めば、桐壺更衣はじめ「いい役」の女たちの嫌な面が見えてくる。ストーリーは同じでも、人間関係の重心が違ってくるのが面白い。弘徽殿女御への著者の愛は、主人公のフリーターも救う。
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幻冬舎・1680円

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