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アイヌ・母(ハポ)のうた [著]伊賀ふで [編]麻生直子・植村佳弘

[評者]

[掲載]2012年06月17日

[ジャンル]人文

表紙画像

 北海道の釧路で生まれ育ったアイヌの伊賀ふで(1913〜67)は、差別や貧困、病気に苦しみながら生の哀歓を詩につづった。2010年に亡くなった長女でアイヌ文様刺繍(ししゅう)家のチカップ美恵子のもとに残されたのは13冊のノート。その中からアイヌの伝承民謡ウポポの意訳詩やアイヌ語と日本語で書かれた詩など71編を収める。
 たとえば、51歳のときの作品「貧乏」。「私は貧乏を売り物にしたくない/けれど貧乏である//啄木や林芙美子のように/売る貧乏がない/中身のない貧乏である/できることなら/私も貧乏を売りたい」。生活は貧しくとも、魂は気高い。著者が歌う素朴なウポポ「ピリカピリカ」などを収録したCDつき。
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現代書館・2520円

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