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ビターズ2滴半 —村上三郎はかく語りき— [著]坂出達典

[評者]

[掲載]2012年08月26日

[ジャンル]アート・ファッション・芸能

表紙画像

 村上三郎(1925〜96)は、関西で活発だった具体美術協会に属した美術家で、「紙破り」のパフォーマンスで知る人ぞ知る。著者が兵庫県西宮市でバーを開いて間もなく村上は常連客になり、キリキリ冷やしたジンを飲み、おとなしくすごしたり、周囲で騒がしく芸術論が戦わされるとビール瓶をガチャンと割ったり、「エエのん決まってるやん」とつぶやいたり……。無意味であること、目的ではなく過程に価値があること。著者は村上の言行から芸術の根底にある「生きること」への肯定を受け取っていく。村上へのオマージュあふれる本自体がアート。表紙が「紙破り」キットになっていて、後ろから開くと英語版なのだ。
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せせらぎ出版・2600円

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