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復興の書店 [著]稲泉連

[評者]

[掲載]2012年09月16日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

 震災は「まるで血液のように循環していた本や雑誌」の流通も止めてしまった。街に再び本を届けようと立ち上がった書店・取次会社を取材したノンフィクション。
 「食べ物の確保すらままならない」なか、恐る恐る再開した書店を驚かせたのは、活字を求める人々の行列だった。仮設商店街の店内で、紙袋を胸に抱いて喜ぶ少女の写真が印象的だ。
 電子書籍なら、津波で在庫が泥まみれになることも、棚に並べ直すたびに余震で崩される苦労もなかっただろう。でも、ぬくもりまで伝えられただろうか。本が、人から人へ手渡される紙の束であること。その意味を問いかけてくる。
    ◇
小学館・1470円


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